住宅ローンを支払うことができなくなったときに、どうすればいいのかわからなくなってしまうと思います。いろいろと返済のために手を出してしまったり、逆に開き直ったりしては、任意売却を回避することは難しくなります。
下手をすると自殺という手段を択んでしまう可能性も否定はしません。今回は住宅ローンが返済できないときに取るべきではない行動について紹介をしていきます。
住宅ローンの返済ができない
住宅ローンの返済ができなくても、極端な話、任意売却をして自己破産をすれば莫大な住宅ローンでもかなり圧縮することができるうえ、借金それ自体を帳消しにすることが可能です。
もちろん、自己破産というのは最後の手段であり、任意売却をすることで借金を大幅に圧縮することができるので自己破産をしなくても返済をし続けることが可能です。
とはいいましても、これは任意売却ができるという知識、債務整理の知識を持っている人間の意見であり、特に知識がない人にしてみれば、任意売却や債務整理という手段は思いつかず、自殺でもして団体信用生命保険で返済をしてしまえばいいと自暴自棄になってしまう可能性があります。
そこまでいかなくても、不安で暗澹たる気持ちで毎日を過ごさなければならず、取るべき手段ではない競売を選択しなければならなくなってしまうでしょう。
では、住宅ローンを返済することができなくなったときに取るべきではない選択について紹介していきます。これから紹介する方法は絶対に取るべきではありません。
1.ひとりで問題を抱えこむ
現在、まじめに働いていても住宅ローンを支払うことができないということは珍しくありません。サラリーマンの方であれば、本来支払われるはずのボーナスが支給されなかったり、昇給の停止や減給、さらにリストラにより給料が減ってしまったり、最悪の場合、給料がなくなった結果、会社の倒産、そのまま無職になってしまった。
もしくは転職をした結果、以前よりも収入が下がってしまったなどということがあります。
自営業の方であれば、受注や仕事の量の減少、それにともない収入が不安定になってしまい住宅ローンの返済をすることが難しくなるケースもあります。
理由はともかくとして、住宅ローン返済へ回すお金に余裕がなくなることがための問題であり、そのケースにおいても住宅ローンの問題が単純で発生しているわけではありません。
そのため、問題は単純に解決することはできません。簡単に解決できる問題ではありません。しかしながら、ひとりで問題を抱え込むことはよろしくありません。
悩みや不安は連鎖します。ひとりで悩んでいると際限なくマイナス方向へ突っ走ってしまい、次から次へと悩みや不安が増大していきます。そして、ひとりで悩んでいる状態ですから、マイナスの連鎖を断ち切ることができる人は誰もいません。このような状況では悩みに押し潰されてしまうはずです。
そのような耐え難い悩みや不安からの逃げ出したい思いつめ、最悪、自殺をして返済をしてしまおうと考える方が現実問題存在します。
抱えた問題への大きな不安や悩みは、時として人を自暴自棄にさせることもあります。自暴自棄になると生活や態度にも悪い方向でその影響が表れてきます。すべてがどうでもよくなって投げやりになってしまったり、ルーズになったり、自分に興味がなくなるわけですから、他人に対する興味もなくなることがあるのです。
真面目な方ほど、その振り子の反動が大きくなる傾向があります。結果として、人間関係、特に家庭内での人間関係がうまくいかず、離婚や家庭離散なんてことになりかねません。守るべき大切な家庭が壊れることがあるのです。
ただ、ひとりで問題を抱えることは、自分、そして守るべき家族を破滅に導くこととなるでしょう。
そのような悲劇的なことが起こらないようにするためには、ひとりで問題を抱えないことが第一です。
実際のところ現状がどうなっているのか、自分が考えている問題を漠然とではなくしっかりと把握して、不安におもっていることをすべて書き出して、そのうえで信頼することのできる誰かに相談しましょう。
お金についてのデリケートな問題ですから、住宅ローンを支払えないという恥ずかしさや困惑、先の見えない不安などが混ぜ合わさって、人に話しづらいことは重々承知しています。
2.相談相手を間違えること
自分自身と家庭を守るためには、ひとりで悩みを抱えず、誰かに相談するのが最善策と紹介しました。
しかしながら、相談する相手が誰であってもいいというわけではありません。相談する相手を間違ってしまうと、事態は悪化の一途をたどる可能性があり、最悪な状況を招きかねません。
しかし、競売で落札された場合、居住権を盾に居座っていても、裁判所から新たな所有者となった買受人にマンションを引き渡せという内容が記載されている「引渡命令」が届きます。
これを放置すると強制執行がおこなわれるわけです。
場合によっては、所有権移転から退去日までの間における家賃相当額の損害賠償金、そのほかに前所有者が所有していた間のマンションの管理費や修繕積立金などの滞納金の立て替え払い分、そして強制執行を申し立てた際にかかった費用などを含めて、さまざまな費用を支払うように訴訟を起こすということもあります。
また、競売になった場合、裁判所に「配当要求終期の公告」というものが張り出されます。これはその債務者の方に対する債権を持っている人がいれば名乗りだしてくださいという旨の掲示がなされます。
これは、裁判所に赴けば誰でも閲覧することができる公告を見て実にさまざまな人がその方へとダイレクトメールを送付したり、直に訪問したりするのです。
アプローチをかけてくる人の中には、悪意を持って接触してくる人間がいる可能性が非常に高いのです。
裁判所が配当要求終期の公告の掲示がなされたとたん、自宅にポストからあふれんばかりの任意売却のダイレクトメールや訪問客が増えます。ときには10人以上の来客があります。
来客者は任意売却をしましょうともちかけてくる不動作業者以外にも、新興宗教の勧誘などとにかく怪しい連中がやってくるわけです。
特に任意売却業者については、自分を通せば住宅を売却することができ、確実に200万円の引っ越し費用を出すことができるなどというのは、基本的に悪質な業者です。
たとえば、○○万円支払う業者を支払いますという業者の場合、不動産の広告費用として5万円~10万円を要求してきます。結局このような業者を選んでしまうと、任意売却をすることができず、競売になってしまう可能性が高くなるといえます。
そのうえで、競売で落札した人間との交渉コンサルトになります、とまで迫ってきます。任意売却が成功しても失敗しても、実際問題、悪徳な任意売却業者にしてみれば関係ないのです。そのため、積極的に販売活動もせず、売れたら売れたで仲介手数料をせしめることができるので、任意売却に失敗しても成功しても、悪徳業者には損はありません。
そして、お金を取るだけ取ってそのままフェードアウトするのが、彼らの手口です。
3.借金で借金を返すこと
住宅ローンの返済することが難しくなり、督促状が届いたときに、世の中には住宅ローンを返済するために、消費者金融業者などの貸金業者からお金を借りて、その返済に充てるという方もいます。
借金で借金を返す行為ははっきり言って愚策です。
住宅ローンの金利は、不動産に抵当権などの担保登記お設定してある分、金利が数%ですが、消費者金融業者は無担保で融資をしているので金利が高く数十%となります。仮に闇金から借りてしまった場合、金利が金利制限法で定められている上限金利以上の金利を請求されることになります。
金利の低い住宅ローンの返済が難しいのに、そこよりもさらに金利が高いところから借りて返済できるはずがありません。
冷静にになって考えれば、誰にでもわかる理屈であると思いますが、どうしても自宅を守りたいという気持ちが先行してしまい、思考がまとまらずその考えが至らなくなる可能性が高くなります。
消費者金融業者などの高い金利のところから借りてでも住宅ローンの返済に回して、家族の思い出のつまった家を死守したいという気持ちはわかりますが、それはあくまでもその場しのぎの愚策であり、自宅を守る決定的に手段にはなりえません。
大切な家族のために自宅を残したいという純粋な気持ちがあだになり、家族全員にもいやな思いを与えてしまうかもしれません。
そもそも、自宅などに抵当権を設定せず、無担保でお金を貸している会社は、抵当権などの借金のかたがなくても自分たちの力を持てすれば、元本はもとより利息分もひっくるめてお金を回収することのできる自信やノウハウ、そして行動力があるので、貸金業を営んでいるのです。
つまり、無担保でお金を貸している会社からの取り立ては、住宅ローンの金融機関から督促とは比較にはならないくらい、非常に厳しいものとなります。
一時期、問題となった商工ローンの取り立ては、貸金業法にて禁止されていますので「内臓うって金を作れ」なんて古臭い脅し文句を使ったり、暴力的に取り立てをすることはありません。それでも、貸金業法ぎりぎりのグレーゾーンにて取り立てをおこなう企業も存在し、結果、自身あるいは家族に多かれ少なかれいやな思いをすることになることは間違いないでしょう。
借金で借金を返済することは自転車操業をおこなっていると同じであり、金利の高い借金になりますので、雪だるま式に大きく増えていきます。すぐに行き詰まり、転んで大けがを負ってしまうことは確実です。
けがをするのが自分自身だけでなく、大切な家族も巻き添えを食らう可能性があります。
借金で借金を返済しないでください。雪だるま式に借金が膨らむだけであり、正直いいことはひとつもありません。
4.第三者を巻き込むこと
連帯保証人を依頼してきて、夜逃げをするパターンがあります。連帯保証人にはお金を借りた人と同等の返済義務がありますので、借金を踏み倒して夜逃げをしても問題になりません。
このような実例があります。
Aさんのもとへ知り合いのBさんがやってきて、融資の保証人になってくださいとお願いをしてきました。AさんはBさんのお願いを聞きとどけ100万円の連帯保証人になりました。
商工ローン会社のC社の担当者に、契約書に署名捺印をする際にAさんはC社の担当者に「100万円の保証をすればいいのか」と尋ねた際、担当者は「今回の借入は100万円となっています」と答えられました。
そして3年後、C社の担当者が訪問してきて「Bさんからの返済が滞っており、そこからもう債権を回収することは不可能と判断して、根保証の保証人であるAさんに一括で返済するようお願いに参りました」というのです。
ここで問題になるのが、「Bさんの借入金は元本と利息、遅延損害金あわせて2000万円となります」とC社の担当者が言ってきた点です。
Aさんとしては、保証人になりましたが、100万円の保証人であり、仮に利息や遅延損害金がついたとしても2000万円という膨大な額になることはありえません。
C社の言い分としては「Aさんとは、極度額2000万円、保証期間3年の根保証契約を締結しており、今回の請求金額も法律にのっとったものです」ということです。
この根保証とは、保証する期間内であれば、極度額の範囲において何度も借入と返済を繰り返すことができる保証契約のことです。
契約を結ぶ際に担当者は「今回の借入」と前置きしたのは、この根保証だからであり、担当者も「今回の借入は100万円ですが、限度額2000万円の根保証契約であれば、100万円は範囲内です。Bさんには別途費用をしても極度額に金額はおさまっており、契約上問題ない」といいます。
Bさんは夜逃げをしており、Aさんは不動産価値の2500万円の自宅を売却して、突然背負わされた借金の返済をしました。
この実例は、商工ローンの根保証の保証人になってしまったゆえに起きた問題です。結局、債権者であるC社は債務者であるBさんがお金を返せるとは最初から期待しておらず、根保証の保証人であるAさんの自宅を狙っての融資だったのです。
まとめ
住宅ローンの返済ができない場合、どうにかして返済をしなければと悩んでしま傾向があります。
- ひとりで問題を抱えること
- 相談する相手を間違えること
- 借金で借金を返すこと
- 第三者を巻き込むこと