住宅ローンが払えなくなる前にするべきこと、住宅ローンが払えなくなったらとるべき手段

任意整理は最後の手段です。任意整理をせずに放置をすると競売になってしまいます。そのため、任意整理をせずに済ませるのが最良の手段です。住宅ローンの返済が困難になる前に打てる手というのはさまざまあります。住宅ローンの危機が深刻になる前にできること、そして実際に深刻になった場合どうするか今回は紹介します。

住宅ローンの危機が深刻になる前にできることとは?

1.住宅ローンの見直し

危機の原因となるのが住宅ローンです。そのため、住宅ローンの見直すことから始めるのは当然であるといえます。

家計の中で多くの割合を占める住宅ローン、そして、その中でも金利負担は馬鹿になりません。金利を抑えれば支払ができる例も多くなります。手っ取り早く危機を回避するには金利の低い住宅ローンに切り替え、支払額を抑えることです。

住宅ローンの残債額が少なければ、繰り上げ返済してしまうという手段も存在します。その場合は、資金などについては、親族や親しい友人の助けを借りることも手段としてあるでしょう。

前述のような方法をとることができない場合、住宅ローンを融資してくれている債権者に返済期間の延長を相談するという手もあります。場合によっては、最高で50年返済まで可能になるケースもあります。ローン会社を融資している債権者も破綻を望んでいるわけではありません。

うまく条件変更できる可能性もあります。

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少しの可能性でも、ダメもとで、しっかり交渉する姿勢が危機回避のためには必要です。

2.生命保険の見直し

通常は住宅ローンを借りる際、「団体信用生命保険(団信)」に加入しているはずです。この保険に加入していると、住宅ローンの返済途中で死亡した場合、残りの住宅ローン債務が清算されます。

つまり、残された家族は、住宅を失わなくなって済みます。それ以外に生命保険に加入しているならば、解約して住宅ローンの返済に回すという手段があります。

3.住宅ローン返済条件の変更

将来的に不安を抱えながら無理を重ねて返済し続けるよりも、住宅ローンを借りている金融機関にリスケジューリング(リスケ)の相談をすることが先決になります。

リスケジューリングとは、返済期間は延ばしたり、金利を見直したりして毎月の返済を少なくしてもらうことです。最近の社会情勢などにより、以前よりもかなり柔軟な姿勢で相談に応じてくれる金融機関も多くなります。

もちろんですが、住宅ローンの債務の元本が少なくなることはありません。仮に債務整理をおこない、元本の減額をおこなってしまった場合、期限の利益を喪失して、住宅ローンの一括返済を要求されることになります。それができなければ、競売となります。

返済期間の延長、元本返済の一定期間猶予などの条件変更により毎月の返済額を減らせたとしても、その分、返済の総額は増えることになります。その場しのぎの返済条件変更は、対症療法にしかならないケースもあります。そのことを十分に理解しなければなりません。

また、リスケジューリングは2回目をおこなうことはほぼ不可能だといって過言ではありません。一度リスケジューリングをした後は、1回でも返済が遅れてしまった場合、期限の利益を失うことになるでしょう。

4.収入アップのための転職・起業

このままでは、遠からず減収やリストラ・倒産などの危機が控えている場合、手段のひとつとして転職や起業を検討することも選択肢のひとつに入れても問題はないでしょう。追い詰められる前に自ら打って出ていこうという気概が大切になります。

しかし、次の仕事先がうまく見つからなかったとしても、1回目の給料を受け取るまでに1ヶ月以上あいてしまうことになります。また、それ以前の問題としてこれまで通り住宅ローンの返済ができる給与水準を維持できるかどうかも問題となるでしょう。

これまでと同じか、あるいはそれ以上の収入を得られる仕事を早く見つけられる見込みがあるのなら、金融機関との相談、返済条件変更の交渉によって何とか苦境を乗り切ることも可能となるでしょう。

しかしながら、その見込がないのであれば、あと1ヶ月、あと1ヶ月と頑張ることで、かえって傷口を広げてしまうことも十分に考えられます。

現状、どこのハローワークも失業者の方々であふれかえっています。そんな時代ではありますが、転職するなら給与が増えなければ意味がありません。自分にあった高収入の仕事がなければ起業することも方法のひとつであるといえます。

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ただし、起業はハイリスクです。何らかの特別の技能を持っていない限り起業は危険でしょう。

5.住みかえをする

住宅ローンの返済がきついのに、プライドや世間体を気にして住宅ローンを払い続けるのも本末転倒です。今の住宅を処分して、もう少し小さな住宅に買い替えることで住宅ローンの返済額を減らしたり、賃貸住宅に住み替えることにより、支出を抑えたりすることも可能です。今の暮らしにこだわらなければ、破綻の道を回避することは可能です。

まずは近くの不動産会社へ足を運び、自宅がいくらの価格(実勢価格)で売却できるのか調べてみましょう。もし、ローン残高よりも高く売れるようであれば売却することも検討材料にいれておくべきでしょう。

ただし、不動産業者といってもさまざまですから、実勢価格の良くわかっている業者、たとえば、任意売却のエキスパートであるなど、を選ぶようにしてください。

自分の身の丈にあった生活を考えることは、健全な暮らしに欠かせない要件ではないでしょうか。自身のおかれた状況を冷静に考えて、深刻な状況へ陥る前に自宅の売却を決断することも大切な選択肢であると思われます。

住宅ローン破たんの危機が現実のものになった場合

1.まずは自分の状況を把握

失業をしたり、ボーナスや給料が減ったりリストラにあったりということは珍しいことではありません。

当面の生活に支障が出ないだけの退職金を受け取れる人や、次の仕事が見つかるまでには十分な貯蓄がる人なら、焦って行動を起こす必要はありません。じっくりと次の仕事を探すこともできますし、余裕があれば退職金の一部の住宅ローンの返済に充てることもできます。

しかし、現実には失業時に受け取れる退職金の額が少なかったり、退職金そのものを受け取ることができなかったりというケースも少なくありません。そうなった後、せっかく取得したマイホームお維持するために頑張ることも大切ですが、住宅ローン破たんを避けるためとはいえ、新たに消費者金融業者や不動産担保ローンなどの高利の借金することは悪手ですから、絶対に止めてください。

そこまでしなければならないということは、今借りている住宅ローンの返済水準が適正ではなくなったというシグナルです。状況は時間が経てば代わるでしょう。

失業とまでいかなくとも給料が減ってしまうケースはもちろんですが、奥さんの妊娠により共働きではなくなることと、子供の進学などなど、普通に暮らしているだけでも収入のうちで住宅ローンに充てらえる割合は変化してきます。

そのため、まさに今自分がどのような状況におかれているのかを常に客観的に把握し続けることが大切です。

状況を見極める際に一番大切なことは、「主観的な願望」と「客観的な事実」とを読み違えてしまわないことです。「こうなるだろう」と「こうなってほしい」は、あくまで願望になってしまいます。現実というのは願望より厳しいものと考えていただきたいものです。

収入減が眼に見える、このままでは住宅ローンを払いきれなくなると冷静に判断することができるのならば、まだまだ打つ手はあります。

状況把握するためには?

ローンが破たん寸前だったり、既に破綻が始まっていたりすると、人は嫌いなものは見たくないという本能から現実に背を向けがちです。専門家の目に委ねるのが最善です。正常な現状認識がなければ、将来への願望など出てくるはずはありません。

2.ハローワーク(公共職業安定所)の活用

会社の倒産やリストラにより退職を余儀なくされたり、自ら会社を辞めたり失業の理由はさまざまです。しかし、もし失業をしてしまった場合、大半の方はまず雇用保険の給付を受けるため、さらに再就職先をみつけるために、ハローワークに行くはずです。その際、失業理由によって生活再建の方向性が大きく変わってきます。

それは、「自己都合」なのか「会社都合」なのかの違いです。マイホームを維持できるかどうかにかかわる大きな問題です。これは、おろそかにできないポイントになります。

「自己都合」と「会社都合」とでは、受け取れる退職金の水準が大幅に異なるのみならず、雇用保険の給付(失業給付)にも差が出てしまうのです。「会社都合」なら1週間程度で給付が開始され、給付期間も330日もあります。

これに対して「自己都合」では、給付開始までに4ヶ月近くかかるうえに、給付期限は150日と半分以下になってしまいます。(勤続20年以上、45歳以上60歳未満の場合)

特に中小企業の場合、求人にかかわる助成金の問題や、ハローワークとの関係を憂慮して、本当は「会社都合」による退職なのに「自己都合」の退職にさせようとするケースもあります。

会社からいきなり退職を迫られ、よくわからないままに「自己都合の退職届」を書いてしまったとしても、簡単に諦める必要はありません。離職理由が「会社都合」なのか「自己都合」なのかを最終的に判断するのはハローワークになります。離職前3ヶ月間の時間外労働の状況や人事の問題、職場環境の問題などを総合的に見たうえで、「会社都合」として扱ってもらえる場合もあります。

もちろんですが、次の仕事をなるべく早く見つけることも大切になります。求人WEBサイトや求人誌だけではなく、ハローワークも積極的に活用しましょう。

3.親子・兄弟などに買い取ってもらう

ローン破たんが眼に見えている、あるいは既に破綻している場合でも、住宅を何とか手放さずに済ませる方法として、親子・親族間売買という手段があります。

住宅ローン破たんをして、最終的には競売になってしまう住宅を、いったん親子・兄弟姉妹・親族など身内などの方に買い取ってもらい、その家に住み続けることができます。また、数年後、親族と話し合いにより買い戻しをすることもできます。

住宅ローン破たんをしても、その自宅に住み続けたいと考えて親子・親族間売買に踏み切る方も多いのですが、この場合、高いハードルがあります。そのハードルとは、銀行によりさまざまではあるものの、原則として親子間取引で住宅ローンを利用しにくいということです。

その理由としては、親子間で話し合いで売買価格をいくらにでも設定できるので、住宅ローンを悪用されてしまう可能性があるからです。

たとえばですが、住宅ローンとして融資したお金を他の返済に充てられる、生活資金として融資したお金を使いこまれてしまう、競売逃れに利用されてしまうなどの恐れがあるからです。そのような取引に融資をおこなうということは、積極的に「競売逃れ」に加担することになりますので、親子や親族間での不動産売買の際には、融資をしてくれる金融機関はほとんどありません。

そのため、親子・親族間で売買するためには、購入金額のすべてを現金で用意しなければならなくなります。完全な現金決済は非常に困難です。
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そもそも現金の一括購入が可能であるのならば、正直にいって住宅ローン破たんで悩む必要はないでしょう。信頼できる親族の援助を受けて、その後の仕事の中から返していけば済む話です。

しかし、ほとんどのケースではローンを組まなくては親子間とはいえ売買ができません。しかも、贈与の問題や売買に関わるさまざまな専門知識が必要とされ、単純に売買することは難しく、買い取る物件には債務(ローン債務)が付いているので、債権者の意向を無視した売買も成立は不可能です。

ごくごくわずかですが、このようなケースで住宅ローンの融資を受けられる金融機関もあります。金利はやや高めになってしまいますが、購入者(申込者)の属性(年収・勤続年数・勤務先・年齢など)に問題がなければ、住宅ローンを組むのに支障がない場合もあります。

これは「売り先の決まっている任意売却」と言えるものですが、売買の手続きから融資先との交渉、借入まで色々と面倒な交渉と手続きが入りますので、信頼できる専門業者に相談することがいいでしょう。

第三者の協力があれば、買戻しができるケースも

親子間・親族間などで直接の売買することは難しいのですが、第三者の協力があれば、買戻しができるケースもあります。

一度、第三者(この第三者とは金融機関から身内と見なされない者)の名義にしたうえで、後から身内の方が買い戻す方法です。このような方法を利用すれば、身内の方でも一般の金融機関から問題なく住宅ローンを借りることができます。

ただ、その第三者から十分に資金を持っている方が、住宅ローンの融資を受けられる状態でなければなりません。もちろん、買戻しをする身内の方が確実に住宅ローンを借りられる要件を備えていなければ、その第三者に思わぬ迷惑をかけることにもなりかねません。

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また、2度の売買をすることで、登記費用などの負担もそれなりに多くなりますから、取引に精通した専門家の的確なアドバイスを受けることも必要です。

いずれにせよこの手法は、その第三者となってくれる方と、よほどお互いが信頼できる関係で、しかも資金的余裕がある場合に限られます。かなりリスキーな面がありますので、慎重かつ細心の準備をしてからおこなってください。身内・第三者のはっきりした承諾の意思を確かめた上で、専門家へ相談することをおすすめします。

4.不動産リースバックを利用する

不動産リースバックという方法があります。不動産リースバックについては信用できる第三者に住宅の所有権を売却して、同時にリース契約を結びます。つまり、自宅を売却し、賃貸として借りるということです。

不動産リースバックも利用することが難しく、所有権を売却して住宅ローンを全額返済することができるのであれば、債権者は文句をつけてきません。しかし、住宅ローンを全額返済することができない場合、債権者はストップをかけてきます。

なぜなら、不動産リースバックを利用して自宅の所有権を売却するよりも、普通の任意売却をしてしまった方が、高額で自宅を売却することができるからです。

まとめ

住宅ローンの危機が深刻になる前にできるモノとして、

  1. 住宅ローンの見直し
  2. 生命保険の見直し
  3. 住宅ローン返済条件の変更
  4. 収入アップのための転職・起業
  5. 住みかえをする

住宅ローン破たんの危機が現実のものになった場合、

  1. まずは自分の状況を把握
  2. ハローワーク(公共職業安定所)の活用
  3. 親子・兄弟などに買い取ってもらう
  4. 不動産リースバックを利用する

このような方法があります。

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