住宅金融支援機構から督促状が来た!住宅金融支援機構の任意売却はいつまで可能?そんな疑問を徹底解説

住宅金融支援機構から融資してもらった場合、住宅ローンを滞納すると任意売却の方法を紹介した資料をはじめとした複数のパンフレットが届きます。住宅金融支援機構は銀行などの金融機関とは異なり、意外と任意売却や個人再生などの相談には積極的に応じてくれます。

しかし、任意売却や個人再生の相談時期を間違えてしまうと、銀行などの金融機関よりも融通が利かないというデメリットも持っています。そのため、住宅金融支援機構から住宅ローンを融資してもらっている場合、「任意売却の相談時期」を見誤らないようにしましょう。

また、住宅金融支援機構から融資を受けていて任意売却をする場合、書類や手続が他の金融機関よりも面倒くさいので、任意売却に慣れて、実績のある業者へ依頼することを強くおすすめします。

今回は、住宅金融支援機構から融資を受けている場合の任意売却の手続き方法を紹介します。

住宅金融支援機構と住宅ローン返済に困ったら

住宅金融支援機構とは

独立行政法人住宅金融支援機構は、住宅金融公庫の事業を継承して2007年に発足した機構です。

住宅金融公庫から住宅ローンを融資してもらっていた方も、滞納をしたら住宅金融支援機構から督促を受けることになります。

住宅金融支援機構は、民間の金融機関と提携をして住宅ローン商品を提供します。

有名なものとして、

  • フラット35
  • フラット35S
  • フラット50

などがあります。

固定金利、保証料0円、繰上返済手数料0円、機構団体信用生命保険、3大疾病保障付機構団体信用生命保険などの安心サポートがあります。また、返済方法変更のメニューもあり、返済の悩みや事情にあった返済方法を提案するなど安心して利用することができるでしょう。

滞納をする前段階・返済方法変更のメニュー

住宅金融支援機構は、銀行とは異なり返済方法変更には比較的柔軟に応じてくれます。

住宅金融支援機構から融資を受けて返済に困った場合、返済メニューが3つほど用意されており、それを利用することで楽に返済することができる可能性があります。

A~Cタイプの3つの種類があります。

  • Aタイプは、経済事情や病気で収入が減少し、返済が大変になった場合、返済期間の延長などが可能な返済プランとなっています
  • Bタイプは、しばらくの間、返済額を減らして返済をしたいという方向けの物です。一定期間における返済額の減額を認めています
  • Cタイプは、ボーナス返済が負担になっている場合に利用可能です。ボーナス返済分の返済額の変更、ボーナス返済の取り止めなどがこれにあたります
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A~Cの返済タイプは組み合わせることが可能ですが、たとえばAタイプ元金の支払一時休止を希望の場合、Bタイプとの組み合わせはできません。

また、返済方法の変更の利用なあたっては、返済方法変更中、返済期間終了後について返済の継続が可能であることを確認し、審査を受ける必要があります。その結果の可否により実行が決定されます。

住宅金融支援機構の場合、返済が厳しいと思ったらまずは相談をすることが重要です。さらに、債務整理の1つである個人再生などは、銀行などの金融機関ではあまり好まれない方法です。しかし、住宅金融支援機構の場合、とりあえず融資したお金さえ返ってくれば問題ないというスタンスなので個人再生に対しても柔軟な姿勢をとる傾向があります。

住宅金融支援機構の住宅ローン滞納と任意売却相談のタイミング

住宅ローンの滞納

返済方法の変更など、サポートが用意されているとはいえ、返済が困難な場合があるでしょう。

そのような場合、住宅金融支援機構は6ヶ月程度までは滞納することが可能です。

  1. 滞納1ヶ月目:はがきによる督促が届く
  2. 滞納2ヶ月目:はがきと電話での督促
  3. 滞納3ヶ月:「任意売却のバンプレット」と「任意売却に関する申出書」が送られてくる
  4. 滞納5~6ヶ月目:金額繰上償還請求予告通知が届く
  5. 滞納6ヶ月以降:金額繰上償還請求の実行・競売の開始

このようなスケジュールになります。滞納5~6ヶ月目の金額繰上償還請求予告通知が「最後通牒」になります。

滞納1ヶ月目~2ヶ月目

地域によって届く書類は異なりますが、滞納を続けるとどうなるのかという書類が届きます。2ヶ月経過で電話などがかかってきます。問題の先送りをしてしまうと、住宅金融支援機構の任意売却については、任意売却は困難になります。

この時点で任意売却の検討や個人再生の検討、もしくは住宅金融支援機構へ相談して返済スケジュールの見直し(リスケジュール)をお願いしましょう。

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返済をするか返済を諦めて任意売却をするかを早期に決めておくといいでしょう。特に住宅金融支援機構は、返済が不可能な場合、任意売却を積極的に後押しする体制となっています。

滞納3ヶ月目

滞納3ヶ月目で延滞となります。この際、信用情報機関のブラックリストに登録されます。

住宅金融支援機構からは、

  1. 返済に関する提案
  2. 任意売却のパンフレット・任意売却に関する申出書

これらが届きます。

任意売却のパンフレット・任意売却に関する申出書」については、住宅金融支援機構で任意売却をする場合の手続きの方法や流れなどが書かれています。

住宅金融支援機構の場合、他の金融機関と異なり、任意売却の手続き1つをするにしても書類を提出しなければなりません。たとえば、任意売却の専門業者と契約を結んだ場合、その契約書の提出などです。

これらの手続きがありますので、債権者との交渉面では他の金融機関よりは困難ではないのですが、書類作成の手間暇がかかります。そのため、住宅金融支援機構での任意売却に慣れた業者などへ任意売却の依頼をしなければ任意売却に失敗する可能性があります。

滞納5~6ヶ月目

金額繰上償還請求予告通知というものが届きます。

これは、「期限の利益の喪失予告通知」と同じで、これ以上滞納を続けるのであれば住宅ローンを一括で返済してくださいという通知になります。

この金額繰上償還請求予告通知が、住宅金融支援機構からの最後通牒になりますので、この通知を受け取った時点で、任意売却のパンフレットを参考にして、任意売却の専門業者と契約を結び、「任意売却に関する申出書」を作成して住宅金融支援機構へ提出しないと任意売却をすることができなくなります。

また、返済のリスケジュール相談の最後のタイミングともいえます。

つまり、この期間が任意売却をする最後のチャンスです。

滞納6ヶ月以降

金額繰上償還請求が実行されて、住宅ローンの残債務の一括返済が求められます。当然、一括での返済は不可能な場合が一般的ですから競売手続きが開始されます。

一括返済が求められてから滞納分を清算したとしても、すでに期限の利益を喪失していますので、住宅ローンを分割返済する住宅ローン契約に戻すことはできません。もちろん、返済計画の見直しというのも、不可能となりますので、注意をしましょう。

住宅金融支援機構と銀行の住宅ローンで異なる点

金額繰上償還請求実行後の競売回避が難しい

一般的な銀行の場合、期限の利益を喪失して競売に発展しても、任意売却をすることができるケースが多くなります。しかし、住宅金融支援機構の場合、金額繰上返還請求が実行された、住宅が競売にかけられてしまった後に、任意売却のパンフレットを参考にして任意売却を申し出ても、任意売却を受け付けてもらえない可能性が非常に高くなります。

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つまり、金額繰上返還請求予告が送られてきてから、1ヵ月後に金額繰上返還請求が実行されますから、この1ヶ月間が正真正銘、任意売却をするラストチャンスとなるわけです。

独自の書式の書類を提出

一般的に銀行と大きく異なる点としては、任意売却をするために所定の書式で詳細な販売活動報告書を住宅金融支援機構へ提出しなければなりません。

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住宅金融支援機構には、独自の決まり、独自の手続き方法があります。

つまり、任意売却に慣れている業者であっても、住宅金融支援機構の任意売却に慣れていなければ、スムーズに販売活動をすることが難しくなるのです。

保証会社が存在しない

銀行などから住宅ローンを融資してもらう場合、保証会社と別途契約を結ぶ必要があります。この保証会社というのは、住宅ローンの返済が不可能になったときに代位弁済をしてくれる会社です。

任意売却の手続きにおいて代位弁済をした保証会社が銀行に代わり債権者となります。残債務は保証会社へ返済をしていくか、保証会社から委託をうけたサービサー(債権回収業者)への返済となります。

しかし、住宅金融支援機構の場合は保証会社というものが存在しません。つまり、住宅金融支援機構から融資を受けた住宅ローンの残債務について、競売や任意売却をしても住宅金融支援機構が債権者のままとなります。

住宅金融支援機構と残債務

一般の銀行とは異なり、住宅金融支援機構は保証会社を持っていませんので、任意売却をしても競売をしても、住宅金融支援機構が債権者のままです。

そのため、任意売却や競売をしても残った住宅ローンの残債務は、住宅金融支援機構や住宅金融支援機構から委託を受けたサービサーへ返済することになります。

残債務の返済方法についても、住宅金融支援機構の場合は、一般の銀行の残債務処理とは手続きが異なります。

まず、住宅金融支援機構の「生活状況申出書」という書類を作成して提出をします。

この書類をもとに、新生活に支障が出ない程度、無理のない範囲での金額を毎月支払うというケースが行なわれます。

つまり、生活状況申出書というものの作成が必要という点が異なるわけです。残債務の支払については、無理な督促などはおこなっていませんので、安心して返済をすることができると考えられます。

仲介業者の選定について

住宅金融支援機構が融資をする場合であっても、原則として債務者が仲介業者、つまり、任意売却の専門業者は自分で見つけ、契約を結ばなければなりません。

任意売却の専門業者の選定方法については、3つの種類があります。

つまり、

  1. 債務者や債権者が自ら選定
  2. 売却価格申出方式の選定
  3. 住宅金融支援機構・保証協会からの個別紹介による業者選定

このようになります。

任意売却は原則として、専任媒介契約を結ぶことになり、契約が効力を発揮する3ヶ月間は、他の任意売却の業者と契約を結ぶことができなくなります。そのため、任意売却の業者選びというのは重要です。

債務者や債権者が自ら選定

債務者や債権者が、ネットやチラシなどを頼りにして自ら任意売却の業者を選び、依頼をする方法です。比較的一般的な方法であるといえます。

売却価格申出方式の選定

これは、住宅金融支援機構へ「任意売却に関する情報提供依頼書」という書類を提出することで、物件の概要を酸化希望の任意売却の業者達に知らせ、最も高額な売り出し価格を出した業者を紹介してもらうという方法になります。

住宅金融支援機構・保証協会からの個別紹介による業者選定

売出価格申出方式が利用できない場合において、住宅金融支援機構が任意売却の業者を紹介するという方法です。

注意点として債務者が自身で選んだ業者というのは、債務者が依頼主になりますので債務者の利益を最大にするための販売活動をします。しかし、住宅金融支援機構が紹介する場合、住宅金融支援機構が本来の依頼主的な役割になりますので、住宅金融支援機構の利益が最大になるように販売活動が進められる可能性があります。
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つまり、債務者が自分の利益を最大限にしたいのなら、自分で仲介業者を探す必要があります。

住宅金融支援機構の費用控除について

任意売却をするときの費用は、一般的に住宅の売却代金の中から控除されます。そのため、原則として任意売却をするときに債務者が支払う費用というのは、あまりありません。

そして、任意売却の費用控除の基準として、住宅金融支援機構の定める費用控除基準があります。

控除できる項目としては、

  • 後順位の抵当権抹消承諾料
  • 仲介手数料
  • 登記費用
  • 公租公課
  • 管理費滞納分
  • 転居費用
  • 契約書の印紙代

このようなものが控除の対象になります。

後順位の抵当権抹消承諾料

複数の債権者(抵当権者)がいる場合、その債権者が全員、任意売却に了承をしなければ任意売却をすることができません。

しかし、住宅の売却代金よりも住宅ローンの残債務額の方が多ければ、先順位の抵当権者には配当金が入ってきますが、後順位の抵当権者には配当金が1円も入ってきません。そのため、後順位抵当権者が任意売却に協力するように「抵当権抹消承諾料」を支払います。

住宅金融支援機構は絶対に第1順位抵当権者になりますので、後順位抵当権者へ支払う抵当権者抹消承諾料をいくらまでと決めています。

  • 2番:30万円または残元金の1割のいずれが低い方
  • 3番:20万円または残元金の1割のいずれか低い方
  • 4番以下:10万円または残元金の1割のいずれか低い方

つまり、最大で30万円まで支払うということです。

仲介手数料

任意売却の専門業者に対して仲介手数料は、「本体価格×3%+6万円+消費税」と宅建業法により定められています。つまり、任意売却の専門業者へ支払う仲介手数料は全額控除されますので、債務者は1円も支払う必要はありません。

登記費用

登記費用とは抵当権抹消費用の登録免許税や司法書士報酬のことです。

原則、一筆1万円以下となります。

公租公課

公租公課とは税金などのことです。

抵当権等設定以前に到来した税金の滞納分は優先税として全額控除されます。

しかし、一般的に抵当権等を設定した後に滞納する税金の方が高額になります。

税金が原因で差押えをされた場合、「10万円または固定資産税・都市計画税1年分のいずれか低い額」の控除を認めています。

管理費滞納分

マンションの管理費等については、住宅金融支援機構の費用控除基準では、原則として滞納した管理費、修繕積立金の元金全額が控除費用の対象として認められています。

マンションの管理費等は5年で時効を迎えますので、過去5年分までさかのぼり支払います。しかし、遅延損害金については支払が認められていません。

管理費と修繕積立金以外の滞納分は認められない可能性が高くなります。

転居費用

転居費用、つまり、引っ越し代です。住宅金融支援機構の場合は原則として転居費用は支払われません。

自己破産などをした場合は、見積もり明細書を提出することで、10万円~20万円程度の転居費用は支払われます。

契約書印紙代

印紙代については、住宅金融支援機構の場合、費用控除は認められていません。住宅金融支援機構は原本確認をしますので、印紙がはっていないと契約書の有効性が認められない可能性が高くなります。

工夫次第で安くなりますので、そこまで問題にはならないでしょう。

まとめ

住宅金融支援機構の場合、普通の金融機関とは異なり、住宅ローンの返済が困難になったらリスケジュールにも応じてくれますし、個人再生などをしても特に嫌がったりもしません。

また、返済が困難であるのならば積極的に任意売却をするべきだというスタンスをとっています。任意売却のパンフレット・任意売却に関する申出書などを配布しています。しかし、「金額繰上返還請求」以降は、任意売却や返済のリスクジュールには応じてくれ難くなりますので、任意売却や返済のリスケジュールについては、早めに相談をして決めていく必要があるといえます。

任意売却をすると決めた場合、住宅金融支援機構の任意売却に慣れた、任意売却の専門業者を債務者自身で探すことをおすすめします。住宅金融支援機構の紹介する業者の場合、依頼主が住宅金融支援機構になりますので、債務者有利の条件にはならない可能性が高くなります。

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住宅金融支援機構と他の金融機関とでは、提出する書類の数などがまったく異なりますので、住宅金融支援機構の任意売却に慣れた業者でなければスムーズに任意売却は進まない可能性が高くなります。

さらに、住宅金融支援機構が費用控除する項目としては、

  • 後順位の抵当権抹消承諾料
  • 仲介手数料
  • 登記費用
  • 公租公課
  • 管理費滞納分
  • 転居費用
  • 契約書の印紙代

このようなものがあります。

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住宅金融支援機構の場合、書類作成などが面倒ですが、任意売却に対しては寛容な姿勢をとっていますので、住宅ローンの支払が困難な場合、任意売却を検討してみてはいかがでしょうか。

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