ということで、今回は任意売却にまつわるトラブルについて紹介をしていきます。任意売却のトラブルといえば、買主に関するトラブルが多いのですが、この記事では売主に起きるトラブルについて紹介をしていきます。このようなトラブルが実際に発生しますので、注意をしましょう。
目次
業者が原因のトラブル
- 業者が原因のトラブル
- 売主(債務者)が原因のトラブル
この2点に大別することができます。
業者側のトラブルは、売主に金銭的な損害が出る可能性があり、売主側のトラブルでは、買主と業者に何らか損害が出る可能性があります。
では、業者が原因のトラブルとはどのようなものがあるのでしょうか。
- 任意売却申請費・コンサルティング料を要求する
- 引っ越し代が必ずもらえると宣伝をする
- 媒介契約締結時に任意売却業者が金銭を支払う
- 任意売却の知識がない不動産会社が任意売却をする
この4つの事例が存在します。
売主に任意売却の知識がまったくないことに付け込んだ悪徳業者の手段です。
任意売却申請費・コンサルティング料を要求する
任意売却の悪徳業者の中ではメジャーな方法ですが、本来は要求してはいけない費用を要求するというパターンです。任意売却の手続き、通常の不動産売買とは異なりますが、あくまでも不動産取引の1種にあたります。
コンサルティング料を請求することができるのは、不動産コンサルティング技能士という資格を持った者が「不動産の媒介業務以外」に特別な業務を行った場合です。しかし、任意売却には不動産コンサルティング技能士の報酬として認められるような特別な業務というものはありません。
- 任意売却申請費用
- コンサルティング料
- 任意売却事務処理費
などの費用を請求された場合は違法となります。
また、任意売却業者に支払う報酬である「取引価格の3%+60,000円(税別)」は、任意売却の売却費用から控除されます。つまり、売主は報酬を任意売却業者へ自腹で払う必要はありません。
引っ越し代が必ずもらえると宣伝をする
競売と任意売却の大きな違いとして、引っ越し代の有無があります。競売については、引っ越し代は出ませんが、任意売却をしても引っ越し代が必ず支払ってもらえるわけではありません。
あくまでも、もらえる可能性があるだけであり、もらう権利はありません。買主も引っ越し代を支払義務は負いません。そのため、多額の引っ越し代を支払ってもらえるという甘いことばで誘惑する悪徳業者には騙されていけないのです。
ただし、あくまでも債権者との交渉の中で控除額が決まってきます。そのため、引っ越し費用の保証については、金融機関は行っていません。
引っ越し代をどのくらい引き出すことができるのかは、任意売却の担当者の腕次第になります。なりますが、100%引っ越し代を債権者に認めさせることは不可能です。あくまでも、債権者との交渉により勝ち取るものですから、必ず多額な引っ越し費用を出してもらえるとは限りません。
媒介契約締結時に任意売却業者が金銭を支払う
任意売却は不動産取引の一種になりますので、購入者が売主へお金を支払初めて、任意売却は成立します。売買が成立しなければ、不動産会社に対しては、一切費用を支払う必要はないのです。そのうえ、任意売却成立前に不動産会社が報酬を受けとることもありえません。
任意売却の知識がない不動産会社が任意売却をする
任意売却は、不動産取引の一種になりますので、不動産会社が任意売却をすることは法的には何の問題もありませんが、普通の不動産会社に依頼するのはトラブルの原因になります。
普通の不動産売買に関しては、宅地建物取引業法・民法に従い業務をおこなえば問題ありません。
では、任意売却については宅地建物取引業法・民法・弁護士法・民事執行法・債権管理回収業に関する特別措置法などの豊富な法律知識を持っていなければ、うまく任意売却を成功させることは難しくなります。
悪質な業者と優良業者の見分け方について
悪質業者や任意売却に不慣れな業者へ任意売却を依頼してしまうと、任意売却に失敗するか騙されて大金を取られてしまいます。このような被害は数多く報告されています。競売より高く売れるはずだったのに、競売よりも安い価格で売却されて残債務が莫大な額になってしまっては面白くありません。
悪質業者や任意売却と優良業者は依頼をする段階で見分けなければなりません。
では、何を参考にすればいいのでしょうか。
また、弁護士のような債務整理のプロなどと連携が取れているのかというのも重要です。任意売却は結局のところ債務整理の方法の1つになりますので、債務整理の専門家である弁護士と連権が取れていれば、それだけ有利な条件で借金の整理をすることができるようになるでしょう。
売主(債務者)が原因のトラブル
売主(債務者)が原因のトラブルとして考えることができるのが下記のものです。
- 瑕疵を知りつつも黙っている
- 特定の債権者にのみ返済を続ける
- 債権者の存在を黙っている
- 税金の未納
特に、1番以外はすべて任意売却に不成立に直結するほか、任意売却の専門業者と決定的な不和の原因になります。任意売却に失敗してしまうと、競売になり、最終的に損をするのは売主になりますから、変な見栄を張ることなく任意売却に成功のためにトラブルの原因は必ずつぶしていくようにしましょう。
瑕保を知りつつも黙っている
任意売却の場合、瑕疵担保責任の免除という特約を付けるのが一般的です。瑕疵担保責任とは、たとえば、雨漏りがあるのを買主が発見した場合、売主へ請求することで売主は雨漏り修理のための費用を売主へ支払います。これが瑕疵担保責任です。数年間はこの責任の効力が及びます。
しかし、任意売却の場合は経済的に家計が破たんしている可能性が高いので、瑕疵担保責任の免除をしてもらいます。つまり、雨漏りがあっても買主は売主へ修理するように請求することができません。
瑕疵担保責任の免除には例外があり、あからさまに瑕疵、つまり欠点があることを知っているのに、高額で売却したい一心で黙っていると、瑕疵担保責任の免除特約が効果を発揮しないケースがあります。
特定の債権者にのみ返済を続ける
任意売却をすると考えた場合、すべての債権者へ住宅ローンの返済を中止して、期限の利益の喪失をする必要があります。期限の利益を喪失すると、ローン保証会社が銀行などの金融機関に住宅ローンを一括で代位弁済をしてくれます。
この時点より、債権者が銀行から住宅ローンを代位弁済した、ローン保証会社やローン保証会社から委託を受けたサービサーとなります。そうなることで、任意売却の手続きを本格的に実行することができるようになるのです。
債権者の存在を黙っている
前項の特定の債権者にのみ返済をするという話に近いのですが、任意売却は債務整理の1つの手段です。そのため、特定の債権者の存在を任意売却業者へ黙っていると、その特定の債権者が差押えをしてしまうと任意売却をすることができなくなってしまいます。
任意売却をするときは、住宅ローンに関係のある債権者のみならず、利害関係のある債権者の存在をすべて任意売却業者や弁護士に打ち明けて、対策を練っていく必要があるでしょう。住宅に抵当権を持っている債権者の存在を黙っていると確実に任意売却は破たんします。
まとまりかけていたのに突然の差押えで、任意売却が流れるというケースがあります。こうなってしまうと、仲介をする任意売却業者も見放しかねません。確実に成功させたいのであれば、利害関係のある債権者をすべてピックアップし任意売却業者へ提出する必要があるといえるでしょう。
税金の未納
住宅ローン債権者への返済については、任意売却をするのであれば一切する必要はありません。むしろしてはいけません。しかし、任意売却をするのであれば、税金だけは必ず支払うようにしましょう。
そして、税金未納が原因で住宅の差押えをされてしまうと、税金を全額納めなければ差押えが解除されないことがあります。任意売却が成立して、あとは引き渡しの段階になり税金の未納が原因で差し押さえになります。この後、役所によって対応が大きく変わり、税金の滞納による差押えの解除できずに、話が流れることもあります。
こちらは、住宅金融支援機構の控除基準ならば「10万円または固定資産税・都市計画税1年分のいずれか低い額」の控除が認められています。
また、原則として競売になった場合、滞納している税金の返済まで配当がいくことがありません。そのため、役所にて「無益の差押え」であることを説明すれば、差押えを解除してくれることがあります。無益な差押えは本来禁止されていることなのです。
しかし、禁止されているから早く差押えをとけというような態度ではなく、税金を納める意思や予定をきちんとアピールする方が有益であるといえるでしょう。
売主(債務者)が原因のトラブルを回避するには?
売主が原因のトラブルの多くが、任意売却失敗に直結します。
売主が原因のトラブルにならないように、任意売却の専門業者がきちんとアドバイスをすると思いますので、そのアドバイスには従うようにしましょう。自分で判断して特定の債権者には返済する、税金の滞納というのは任意売却をよりややこしくします。
さらに、瑕疵を知りつつ、少しでも高い価格で売りたいと黙っていると任意売却が終わった後にトラブルとなりますので、些細な嘘などは任意売却をはじめ債務整理では決定的な失敗の原因になりますので避けるべきです。
まとめ
- 業者が原因のトラブル
- 売主(債務者)が原因のトラブル
この2種類があります。
- 任意売却申請費・コンサルティング料を要求する
- 引っ越し代が必ずもらえると宣伝をする
- 媒介契約締結時に任意売却業者が金銭を支払う
- 任意売却の知識がない不動産会社が任意売却をする
この業者のトラブルを回避するためには、任意売却の実績・実務経験が豊富な任意売却の業者へ依頼をするというのがいいでしょう。不動産業界で大手であっても、任意売却の実績・実務経験が乏しいのであれば、4番目のトラブルに引っかかる原因になりますので注意をしましょう。
- 瑕疵を知りつつも黙っている
- 特定の債権者にのみ返済を続ける
- 債権者の存在を黙っている
- 税金の未納
この4つがあります。
1番以外はすべて任意売却の実行不可能なレベルの失敗になりかねません。そのため、売主が自分で判断することなく、しっかりと任意売却の業者に確認を取りながら判断をしていきましょう。
特に税金の未納に関しては、任意売却を失敗させる重大な原因の1つです。注意をしてください。