安全・安心の任意売却成功のため、任意売却の10のデメリットを知ろう! 

任意売却は競売と比較をするとメリットが多いでしょう。しかし、メリットがあれば必ずデメリットがあります。今回は、任意売却のデメリットについて詳しく解説をします。住宅ローンを滞納しており、任意売却を検討している方は必見です。

任意売却と競売

任意売却

任意売却と競売は、住宅ローンの支払いが困難、または不可能になった場合におこなう方法です。

任意売却は、住宅を所有している方(債務者)が主導で、住宅ローンを融資している金融機関など(債権者)と協力をしながら、住宅を売却します。

住宅の売却方法は、通常の不動産売買のように一般の市場でおこなわれますので、競売と比べると3~4割増しの価格で住宅を売却することができるでしょう。

通常の不動産売買と同じように進められますので、周囲の人に住宅ローンが支払えず、住宅を売却する事実はわかるはずがありません。

競売

競売は住宅ローンを融資している金融機関など(債権者)が裁判所の力を借りて主導をして住宅を売却します。債務者の同意を必要とせず自動的に競売のスケジュールは進められていきます。そして、最終的にはこの日までに住宅から出て行ってくださいと命令されるのです。

また、競売の場合は「官報」という国が毎日発刊する公報誌に名前や住所、競売をおこなうことが掲載されます。

官報の他に競売の物件情報を取り扱っている専門のサイト「BIT(不動産競売物件情報サイト)」に物件の情報などが載ります。また、裁判所でも競売物件の情報を閲覧することが可能です。裁判所ではかなり詳細な物件情報を手に入れることができます。
官報や裁判所などで情報を閲覧した、闇金業者や任意売却業者、不動産業者からのダイレクトメールが送られてきます。また、住所の周りに不動産業者があらわれて情報収集をするケースもあり、非常にストレスが溜まることでしょう。

最大の問題点として、競売は市場価格よりも安く住宅を売却されてしまう点です。そのため、住宅を売っても残債務(住宅ローンの未払い金)が任意売却よりも多く残ってしまいます。

任意売却と競売はどちらがいいのか?

任意売却と競売ですが、任意売却ができるのであれば、任意売却を選択するべきです。

住宅の売却価格が任意売却の方が多くなりますので、任意売却をし住宅ローンの残債務が残ったとしても、任意売却の方が競売より返済額が少なくなります。

また、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)のような住宅ローン融資業務をおこなっている独立行政法人も、住宅ローンの返済ができないのであれば、任意売却をするべきであると勧めています。

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競売を選択するよりも、任意売却を選択した方が、債務者、債権者の双方にメリットがあります。

住宅ローンの支払能力がまだある場合

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住宅ローンの支払い能力がある場合でも、やっぱり任意売却をした方がいいのでしょうか?

任意売却は住宅ローンの支払い能力が破たんした場合に選択するべきものです。そのため、支払い能力がある場合は積極的に任意売却をする必要はありません。

金融機関などの債権者と話し合いをすることで、住宅ローンの返済スケジュールをリスケジュールし毎月の住宅ローンの返済額が少なくなり、家計を立て直すことができます。

リスケジュールに金融機関などの債権者が応じない場合、民事再生(個人再生)があります。民事再生(個人再生)は、住宅ローンを残しつつ他の債務を圧縮することができます。また、民事再生法の規定に基づいて返済期間を最大10年間まで延長することが可能です。

そのため、任意売却は住宅ローンの支払い能力が破たんした場合、選択をすべきであり第一候補として考えるべきものではありません。

任意売却のデメリット

本題の任意売却のデメリットを紹介します。

任意売却のデメリットは、

  1. 手続きや交渉の手間がかかる
  2. 必ず任意売却に成功するわけではない
  3. 制限時間がある
  4. 依頼する業者を間違えると損をする
  5. 住宅ローンを滞納する必要がある
  6. 保証人に迷惑がかかる
  7. 金融事故として信用情報機関のブラックリストに載る
  8. 通常の不動産売買よりも購入価格が安くなる
  9. 引っ越しをする必要がある
  10. 住宅ローンを完済できるとは限らない

以上10種類のデメリットが考えられます。

手続きや交渉の手間がかかる

任意売却は通常の不動産売買と比べた場合、債権者(抵当権者)との交渉をする必要があります。

アンダーローン(住宅売却代金>住宅ローンの残債務=アンダーローン)の場合は、銀行をはじめとした金融機関などの同意を必要とせずに任意売却をすることができます。

しかし、オーバーローン(住宅売却代金<住宅ローンの残債務=オーバーローン)の場合、銀行をはじめとした金融機関などの同意なしに任意売却をすることはできません。

そのため、任意売却をするのであれば、銀行をはじめとした金融機関などの債権者と話し合いをして、債権者から任意売却の同意を必要とします。

また、任意売却の際にかかる経費、引っ越し代を出してくれるのかなどの交渉もしなければなりません。

交渉については、項目ごとに予備交渉、本交渉、確定報告が必要です。さらに、住宅金融支援機構の場合は様々な書類を作成して提出する必要もあります。

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これらの交渉は一般人がおこなうにはあまりにも複雑で煩雑なため、専門の仲介業者へ依頼をしなければ成功する見込みは低くなります。

必ず任意売却に成功するわけではない

任意売却をするためには、債権者の同意が必要になります。複数の金融機関から融資を受けている場合、債権者は複数いることになります。この場合もすべての債権者からの同意が必要です。

債権者は債務者の所有する住宅に抵当権というものをかけています。

抵当権とは「借金の返済ができない場合に住宅を売却する権利」です。たとえ10万円しか融資していない債権者であっても抵当権を持っているので、この債権者が任意売却に反対をしたら任意売却をすることはできません。

また、保証人がついている場合、保証人の同意も必要になります。保証人には親族が多いのですが、親族間でのトラブルになるケースもあります。

制限時間がある

任意売却には制限時間があります。金融機関などの債権者は住宅ローンの返済が滞る場合、借金を回収するために法的手続き、つまり競売の手続きをおこないます。一度、競売の申立てをされてしまうと自動的に手続きが進んでしまいますので強制的に競売にかけられてしまいます。

つまり、任意売却は競売の開札前日までに完了させる必要があります。開札をされてしまうと、競売にて強制売却となりますので注意が必要です。

依頼する業者を間違えると損をする

任意売却は、一般の不動産売買とは異なります。債権者との交渉がありますので、任意売却の経験と実績のある業者へ依頼をしなければ、債権者との連絡ミスなどにより失敗する可能性があります。

任意売却は債権者が納得をしなければおこなうことは不可能です。債権者が任意売却に反対するケースとして、住宅の査定額などに納得しない場合、値下げをする場合などがあります。

任意売却に慣れている業者であれば、査定額の根拠を話し説得することも可能ですし、値下げをする理由や競売と比べてどのくらいメリットがあるのかを説明することができます。不慣れな業者では債権者とのやりとりで債権者を納得させることは難しくなります。

任意売却業者の中には債権者との交渉はすべて債務者がおこなうという業者も存在しますので、業者選びに失敗をすると任意売却の難易度は高くなります。
さらに業者選びを厄介にするものが、複数の業者に同時に依頼することができない点です。

任意売却は一般的に「専属選任媒介・専任触媒契約」という契約を業者と結びます。この契約を結ぶことにより、他の業者へ任意売却の依頼をすることが期間限定ですができなくなります。

任意売却の業者選びについては慎重、しかし迅速に進める必要があるのです。そのため、住宅ローンの支払いが困難になった段階で、業者選びをすることで余裕のある任意売却をすることができるでしょう。

住宅ローンを滞納する必要がある

任意売却をするための条件として、債務者は住宅ローンを滞納しなければなりません。数か月間滞納をして任意売却へと進めていきます。

保証人に迷惑がかかる

任意売却をするためには数か月間、住宅ローンを滞納します。

そのため、保証人へ請求書などが行きますが、支払わないようにお願いする必要もあります。保証人が弁済をしてしまうと、任意売却をすることはできません。保証人に迷惑はかかるものの、保証人との合意がなければ任意売却は成功しませんので、事前にしっかり話し合いをして合意してもらう必要があります。

民事再生(個人再生)と任意売却を比較をしますと、保証人にかかる迷惑の度合いは民事再生(個人再生)の方が大きくなるケースもありますので、その点を重点的に話して置くといいでしょう。

金融事故として信用情報機関のブラックリストに載る

任意売却をするためには、住宅ローンを滞納しなければなりません。住宅ローンを滞納することが金融事故となります。

金融事故を起こしますと、信用情報機関のブラックリストに名前が載り、5年~7年程度はローン審査、クレジットカードの審査には通らなくなってしまいます。5年~7年経過することで、ブラックリストから名前は抹消され、不利益を被ることはなくなります。

信用情報は、本人の許可なく第三者が勝手に閲覧することはできませんので、ブラックリストに載ったことが、周りの人にばれたり会社に報告されたりすることはありません。

ちなみに、ローン審査、クレジットカード審査の場合、信用情報を請求してもいいですか? と本人に尋ね署名をすることで信用情報を請求することができ、同意がないのに信用情報を請求することはできません。

また、自分の信用情報については、自分で請求をすることも可能です。

信用情報機関は3社あり、

  • CIC
  • 日本信用情報機構(JICC)
  • 全国銀行個人信用情報センター

ここへ情報開示請求をすることで、自身の信用情報を知ることができます。

通常の不動産売買よりも購入価格が安くなる

任意売却の場合、通常の不動産売買と比べると住宅の売却価格が安くなってしまいます。

この原因は、瑕疵担保責任免責、付帯設備修復義務免除の特約をはじめとした、債務者に有利な条件で売買契約を結ぶ点になります。

本来、住宅などを売却する場合、瑕疵担保責任がつきます。たとえば、住宅を購入したけれど雨漏りがする場合、売主は瑕疵担保責任により雨漏りを修理するための費用を買主へ支払う責任を期間限定で負います。付帯設備修復義務についても似たような責任です。

しかし、任意売却をする方はすでに金銭的余裕がありませんので、瑕疵担保責任にもとづいて修理費用を出すことが不可能です。そのため、本来つけるべきである瑕疵担保責任を免除してもらう契約を結ぶのです。

また、任意売却は債権者の同意が必ず必要です。しかし、債権者の中には同意をしない、同意をしても突然、手のひらを返す債権者も存在します。

さらに税金を滞納したことにより、差押えなどが突然入ることもあります。差押えが入ってしまうと税金を支払うなどをしなければ、任意売却をすることができなくなります。

このため、売買契約を売主側が白紙撤回せざるを得ないケースもあり、差押えおよび抵当権等抹消不能による解除特約などを契約につけます。

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このように債務者(売主)にとって有利な条件の特約をいくつも契約に入れることから、通常の不動産売買価格よりも安くしなければ買手がつかないのです。

引っ越しをする必要がある

任意売却の場合、当然ですが、いつまでも売却した住宅に住み続けることはできません。一部例外はありますが、基本的には住宅から引っ越しをしなければなりません。

しかし、競売の場合は強制退去として、裁判所の命令により退去日を決められてしまいます。強制退去日以降も居座ったら、強制執行によりすべての家財を運びだされてしまい追い出されてしまうのです。

任意売却の場合は、買主との話し合いにより退去日などを決めることができます。任意売却の業者の指示に従って退去日を決めていくといいでしょう。勝手に退去してしまうと、売買契約の白紙撤回により損をする可能性があります。
任意売却の場合、親族が住宅を購入すればオーバーローンであったとしても、任意売却をした住宅に住み続けることができます。不動産リースバックという制度を利用すれば、業者へ住宅を売却してからリース契約を結び住宅に住み続けることも可能なケースもあります。

住宅ローンを完済できるとは限らない

任意売却をしても、オーバーローンの場合、住宅ローンの残債務を完済できるとは限りません。もちろんですが、任意売却をしたからといって、住宅ローンの残債務が帳消しになるわけでもありません。

任意売却をしても残債務が残ります。そして、残債務が残るケースの方が多くなります。そのため、任意売却をするといっても住宅ローンの残債務が0になる期待をしてはいけません。

残債務は銀行などの債権者へ返済するのではなく、ローン保証会社やローン保証会社から委託を受けてサービサー(債権回収会社)へ返済をします。

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任意売却をする前と同じ額を返済するのではなく、サービサーやローン保証会社と話し合い、毎月確実に返済することのできる額、たとえば1万円、2万円を返済していきます。
なぜ、サービサーやローン保証会社へ残債務を支払うのかといいますと、住宅ローンを滞納中に、ローン保証会社が債務者の代わりに債権者へローンを支払ってくれたからです。これを代位弁済といいます。

そのため、無担保借入となった残債務をサービサーやローン保証会社へ返済をしていきます。

ちなみに、サービサーの場合、住宅ローンの残債務額を圧縮、減額してくれることがあります。債務者の収入や資産、生活基準などを見て判断されるのですが、完済に時間がかかるようであれば、減額をしてくれます。必ずしてもらえるわけではないので、期待はしない方がいいでしょう。

まとめ

任意売却のデメリットを紹介しましたが、いかがでしょうか。

任意売却のデメリットは、

  1. 手続きや交渉の手間がかかる
  2. 必ず任意売却に成功するわけではない
  3. 制限時間がある
  4. 依頼する業者を間違えると損をする
  5. 住宅ローンを滞納する必要がある
  6. 保証人に迷惑がかかる
  7. 金融事故として信用情報機関のブラックリストに載る
  8. 通常の不動産売買よりも購入価格が安くなる
  9. 引っ越しをする必要がある
  10. 住宅ローンを完済できるとは限らない

このようになります。

逆にいえば、この程度しかデメリットはありません。競売で住宅を売却した場合はさらにデメリットが増えることになります。

この中で、一番気を付けるべきデメリットが「依頼する業者を間違えると損をする」です。前述したとおり、複数の業者に依頼して、その中から一番いい条件の業者を選択するという方法が使えないので、業者選びを迅速かつ慎重におこなう必要があります。

競売の開札が近くになって選び始めた場合、変な業者に引っかかる可能性がありますので、任意売却を決心したらなるべく早い段階で業者選びをしましょう。

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