住宅ローン返済に困った場合、とることのできる手段というのは限られてきます。まだ、住宅ローン返済を遅延していないのであれば、住宅ローンの借り換えという手段で毎月の住宅ローン返済額を減らすことができます。
住宅ローン借り換えをするのであれば、必ず成功させたいものです。また、借り換えを検討するタイミングはいつなのかを紹介します。また、住宅ローンの審査基準や審査に落ちる原因、落ちた場合の対策方法などもあわせて紹介します。
目次
住宅ローン返済が困難になり始めたら
住宅ローン返済に困り始めてから借り換えを検討するというのは住宅ローンの借り換えを検討するときのベストタイミングだといえます。
このまま放置して、住宅ローンを滞納してしまっては住宅ローンの借り換えをすることはできません。また、金融機関と相談をしてリスケジュールをしてしまっても住宅ローンの借り換えをすることができなくなります。
リスケジュール(リスケ)をしてしまうと、住宅ローンの借り換えをすることができなくなる理由として、債務者区分があります。債務者区分とは、金融機関は債務者のことを大きく6段階に評価したものです。
- 正常先
- 要注意先
- 要管理先
- 破綻懸念先
- 実質破綻先
- 破綻先
この6段階に分けることができます。
リスケをおこなった場合、正常先に区分されていたのに、評価は要注意先に以下に落ちてしまいます。新たに借入をすることが難しくなりますし、その結果、ローンの借り換えが難しくなります。
また、住宅ローン以外の借金があり、それが原因で住宅ローンの返済に困っているのであれば、債務整理をするなど、住宅ローンの返済が可能である内にさまざまな手段を検討するべきです。
仮に自己破産を選ぶにしても、まずは任意売却をしなければ、自己破産をするために裁判所へ納める予納金というお金が最低20万円ほどかかります。競売については、時間がかかりますので、任意売却をしてから自己破産をするというのが現実的な方法であると考えます。
住宅ローンの借り換え検討のタイミング
- 借入時よりも、同じ金利タイプが0.3%以上、金利が下がったとき
- 変動金利で借入をしており、金利上昇の気配があるとき
- 当初固定金利の優遇期間が終わってしまうとき
- 転職する前
- 住宅ローンの返済が苦しくなったとき
この5つのパターンが考えられます。
借入時よりも、同じ金利タイプが0.3%以上、金利が下がったとき
住宅ローンの借り換えでは、金利が0.3%下がっていれば、事務手数料が下がったこともあり、借り換えの効果が大きくなります。固定金利で住宅ローンの借入をしている場合、変動金利が0.3%低くても意味がありませんので注意をしてください。
変動金利で借入をしており、金利上昇の気配があるとき
2013年に多くのメディアにて住宅ローン金利の上昇するのではと取り上げられています。自身が借りているのが変動金利であり、今後金利が上昇してしまうのでは? と不安に考えるのであれば、固定金利へ借り換え時と言えるでしょう。ただ、多くの場合、返済総額は増えてしまいますので、注意をしなければなりません。
当初固定金利の優遇期間が終わってしまうとき
当初固定金利の金利優遇期間が終わってしまうのであれば、固定金利ではなく変動金利になってしまう住宅ローンが多くあります。前後で比較をした場合、金利がかなり上昇してしまう可能性があり、その場合が多くある傾向があります。
転職する前
会社を辞めて独立をしようと検討している、会社の転職を考えている場合には住宅ローンの借り換えを検討するタイミングとなります。借り換えをするためには、住宅ローンの審査が必要です。
返済が苦しくなったとき
現在は、終身雇用制度が壊れています。そのため、勤務年数が長くなれば長くなるほど、給料やボーナスも右肩上がりということもなくなりました。逆に収入が減り、支出が増えたなどで毎月の住宅ローンの返済額が多くなってしまうケースもあります。住宅ローンを借り換えのタイミングとして、返済が厳しくなったときがあります。
借り換えは0.3%金利低下なら乗り換えをするべき
借入時よりも0.3%金利が低ければ、借り換えメリットがあるといえます。
- 借入残高(現在ローン残高):2000万円
- 残りの返済期間:20年
- 現在借入金利:1.019%(変動金利)
- 借り換え先金利:0.519%
借り換え残高が2000万円で残りのローン返済期間が20年の場合、金利差が0.3%以上あると諸費用を支払ったとしても、金利差による総返済額の軽減メリットが上回る結果となります。
仮に、0.3%で上記の条件で借り換えをしても、メリットは27,040円のプラスになるのですが、27,040円のメリットのために借り換えの書類や申込書を記入してもお得ではないのです。
0.5%であれば453,280円のプラスが出てきますので、0.5%以上でなければ実際問題、厳しいと思われます。
ただし、前述した条件より借り換え残高が大きい、残りのローン返済期間が長い場合、金利差が0.3%でも借り換えのメリットが数十万円発生する可能性はあります。
住宅保証機構の「住宅ローンシミュレーション」などの計算サイトを利用して、借り換えにメリットがあるのか事前に調べてみましょう。
借り換え金額や残りの返済期間はどう考えればいいのか?
住宅ローンを借り換えるメリットは下記のものです。
- 借り換え金額が大きければ、借り換えのメリットが大きくなる
- 残り野返済期間が長ければ、借り換えメリットが大きくなる
前述したとおり、金利差が0.5%以上というのが一番重要な借り換え判断の要件であるのは間違えありませんが、借り換え金額や残りの返済期間によっては、金利差が小さくても借り換えるとお得になる場合があります。。
逆に言えば、金利差が0.5%以上あっても、試算した前提条件よりも借り換え金額が小さい、残りの返済期間が短い場合、十分な借り換えメリットが得られないケースもあります。
たとえばですが、
- 残りの返済期間は15年以上
- 借り換え金額は1000万円以上
ある場合、金利差が0.5%以上と同様に住宅ローン借り換え実行を判断する分岐点となります。
借り換えメリットはフラット35の借り換えもメリットが大きい
フラット35からフラット35への借り換えができます。
同じ住宅ローンに借り換えられるというメリットが、フラット35にはあります。フラット35は金利がここ数年大きく低下傾向にあり、金利差が0.3%以上になる可能性が高くなるでしょう。
大きな借り換えメリットが得られる可能性があります。また、フラット35自体が全期間固定金利になりますので、フラット35からフラット35への借り換えは一切リスクなしで実行することができるのです。
事務手数料や金利へ借入額、保証料など、借り換えを実行する前にはシミュレーションを自身でおこなう必要があります。
住宅ローン借り換え時に金融機関がチェックしている審査項目について
完済時年齢・借入時年齢
完済年齢とは、住宅ローンの返済が終わる年齢のことになります。多くの金融機関では、80歳未満と設定しています。
借入時年齢とは、借入をする時の年齢のことで、チェックする理由は何歳で返済が終わるかをチェックするからです。
借入時年齢は、多くの金融機関では65歳未満となります。
ただし、融資期間の延長を希望する方以外は特に問題にならない項目です。
返済負担率
返済負担とは、収入に対して借金の返済がどれくらいの割合を占めるかといった率になります。
目安としては、返済負担率が収入の45%~35%以内に収まるかどうかが目安です。
自分で計算してみて、返済負担率が目安を超えてしまう場合、対策を考えておく必要があります。
例えばですが、他の借金を完済すると、返済負担率が目安の範囲内に収める場合、その他の借金を完済できる予定である旨を捕捉説明することで、より審査を通す可能性が上げることができます。
担保評価
借り換えの対象となる自宅の評価のことです。
銀行独自の評価基準を持っており、自宅の評価基準は甘いので、特に多きな問題になることはありません。
勤続年数
勤続年数とは、今の会社に勤めている年数です。
多くの金融機関では、最低1年以上との勤務年数を基準としています。
転職したばかりで眷属年数が短くなっている場合、前向きな転職理由を事前に用意をしておき、審査の申込をする際に補足説明をすることにより、審査を通す可能性を上げることができるでしょう。
健康状態
健康状態とは、団体信用生命保険に加入できるかどうかのチェック項目になります。
健康状態が良いにこしたことはありません。悪い場合であっても、団体信用生命保険の加入を必須条件としていない住宅ローン(フラット35)も多数あります。そのため、健康状態もそこまで気にする必要はないと思われます。
年収
年収の最低ラインは150万円としている金融機関が一番多くなります。
年収の最低ラインを100万円としている金融機関も多数あります。そのため、年収が原因で審査に落ちそうな場合、複数の金融機関に審査の依頼をしてみるのがいいでしょう。
住宅ローン借り換えの審査に落ちる3大原因
住宅ローンの借り換えですが、落ちてしまう可能性もあります。100%住宅ローンの借り換えに成功するわけではありません。また、住宅ローン借り換えに落ちたとしても、正確な理由について説明しない金融機関がほとんどです。
年収の低さ、返済比率の問題はクリアしているにも関わらず審査に落ちてしまうという方は多くいます。
このようなケースで審査に落ちてしまった方は、
- 過去に返済が遅れてしまい、信用情報機関に事故記録が登録されている
- 団体信用生命保険に加入できない病気を患っている
- 自宅の担保評価不足
過去に返済が遅れてしまい、信用情報機関に事故記録が登録されている
過去5年以内に、税金、携帯代金、クレジットカードの引き落としなど、1度でも返済が遅れてしまった場合は注意が必要になります。
日本の信用情報機関は、
- CIC
- JICC
- KSC
この3社があります。
この3社の信用情報機関から情報を取り寄せて自分の事故履歴があり、ブラック状態なのかどうかを確認してみましょう。
CIC(株式会社シー・アイ・シー)は、主に割賦販売や消費者ローンなどのクレジット事業を営む企業を会員とする信用情報機関になります。消費者金融業者や携帯電話の会社が加盟をしています。費用は1通1000円で信用情報を取り寄せることが可能です。
JICC(株式会社日本信用情報機構)は、主にクレジット会社、リース会社、保険会社、金融機関の与信事業を営む企業を会員とする信用情報機関です。費用は1通1000円で信用情報を取り寄せることが可能です。
KSC(全銀協・全国銀行個人信用情報センター)は、主に銀行や信用金庫などの金融機関を会員とする信用情報機関になります。費用は1通1000円で信用情報を取り寄せることが可能です。
団体信用生命保険に加入できない病気を患っている
審査に落ちる原因として考えられることは、団体信用生命保険に加入できない病気を患っているケースです。
団体信用生命保険に加入できない病気を患っている場合は、団体信用生命保険への加入が必須条件ではないフラット35などの住宅ローンを検討することにより解決する可能性があります。
自宅の担保評価不足
審査に落ちてしまう原因として考えることができるものとして、自宅の担保評価不足があります。
担保評価とは、自宅の評価額のことです。借り換えを希望している金額を担保するだけの評価が自宅にないと判断された場合、審査に落ちてしまう可能性があります。
まとめ
- 借入時よりも、同じ金利タイプが0.3%以上、金利が下がったとき
- 変動金利で借入をしており、金利上昇の気配があるとき
- 当初固定金利の優遇期間が終わってしまうとき
- 転職する前
- 住宅ローンの返済が苦しくなったとき
- 過去に返済が遅れてしまい、信用情報機関に事故記録が登録されている
- 団体信用生命保険に加入できない病気を患っている
- 自宅の担保評価不足
この3つの原因が考えられます。
リスケなどをせずに借り換えの審査に落ちる場合、適切な対策方法がありますので試してみてください。