任意売却のメリットとは?任意売却を選ぶべき方とそのメリットを解説します。

任意売却は、住宅ローンの残債務をを分割で返済しながら、新生活を再建することができる債務整理の一種です。

住宅ローンを滞納したのに、差し押さえられたり、競売に掛けられたりすることなく、一般的な不動産売却と同じように、不動産の売却を行い、売却後に残った残債務も一括返済ではなく、分割の返済にしてもらい新生活を送りながら、債務を完済していくという画期的と思われる債務の返済手段です。

任意売却は、債務者にとってとてもメリットが高いと考えられますが、債権者にとっても競売などで売却するよりも、任意売却の方が、市場の相場に近い価額で売却できることが多いので、メリットが高いと考えられ、近年利用する方も増えています。

社会的にも、競売になって、残債務を一括請求し、自己破産されるよりかは、少額でも債務者により返済を完了してもらう方が経済的ですし、債務者も自己破産をしない方が、社会的にも苦痛なく過ごせるはずです。

債務者、債権者、さらには社会全体の利益としてメリットがとても高いと考られる任意売却です。

夢のマイホームで家族と幸せに暮らすはずだったのに、住宅ローンが支払えなくなり、競売になり、残債務を一括請求され、家族と共に暮らすことができなくなり、家族離散、また仕事も失うという事態は、誰にでも起こりうる可能性はあると考えられます。

よほどの身の丈に合っていない住宅を購入し、あっとゆうまに支払えなくなった場合だけではなく、しっかりと計画をたて、貯金もそれなりにしている方でも、突然なんらかのトラブルにより住宅ローンが支払えなくなることはおおいにありえます。

堅実に、しっかりと計画的に生きてきた方々が、ちょっとしたことで自己破産まで追い込まれるのはとても理不尽です。そういった救済的な役割を任意売却はあると考えられています。

住宅ローンが支払えなくなるリスクは誰にでもあります。

しかし、任意売却が誰にとっても有利である、また任意売却を成立させることができるというわけではありません。

任意売却を成立させるためには、また生活を健全にリスタートさせるためには、住宅ローンが支払えなくなったらという、もしものことをしっかりと考えておき、そういった場合にどのような対処ができるのかを知っておく必要があります。

任意売却を進めたいと思っても、任意売却を成功させるには、期限という制約をクリアしなけらばなりません。

任意売却ができそうでも、時間切れになっては、もう競売を待つしかなくなります。

そのためにも、住宅ローンが支払えなくなったり、支払えなくなりそうになったら、すぐに任意売却の手続きを開始するために、任意売却がなんであるか、またこういった事態の際にどのように動くのがベストなのかを把握しておかなければなりません。

今回は、債務者、債権者、そして社会にとってもメリットが高いと考えられる、任意売却のメリットをご紹介したいと思います。

そして任意売却にも、もちろんデメリットがあります。

全ての人にとって、効果的であるとは限りません。ではどのような方が任意売却を選択するべきなのか、また任意売却を成功させることでより、効果的に作用するのはどのような方かを説明していきたいと思います。

任意売却とは

任意売却とは、なんらかの原因で住宅ローンが支払えなくなった場合に、住宅を売却し、債務に充てて、さらに残った債務は分割で返済することができる債務整理の一種です。

「全国消費実態調査」(2009年)によると、住宅ローンンを借りている世帯は、日本全国で約1,104万世帯で全世帯の22%を占めていると考えられています。

そのうち、実際に破綻してしまった世帯は0.5%から0.8%と一見少なく見られます。

実際、債務者200人のうち1人~2人という割合ですので、実際に破綻する方は少ないというのが実情だと思います。というのも、2008年のサブプライムローン問題から、経済状況は悪化し、超低金利時代と言われるようになりました。

景気は回復傾向ですが、金利は変わらず、超低金利の状態であります。金利が低く返済が楽だというのも理由の一つかもしれませんが、大きな理由は、そもそも日本人の性格によるものが大きいかと考えられます。

日本人は勤勉で、誠実で、借りたものはしっかり返すという責任感がとても強い日本人ならではの特性が、破綻率の低さを支えています。

しかし、ここには「破綻予備軍」と言われる世帯が、かなり多くの割合を占めているとも考えられています。

「破綻予備軍」とは、住宅ローンだけは滞納こそしていないが、生活は切り詰め、苦しい家計を必死でやりくりし、なんとか生活を続けているという世帯です。

住宅ローンが支払えなくなるリスクは誰にでも起こります。

よほど多額の預貯金などがある世帯は、少々収入が途切れたとしても貯蓄からやり繰りすることができますが、大半の一般家庭ではそうはいきません。

働き手である大黒柱がケガをして数か月働けないだけで、住宅ローンが払えず破綻してしまうという家庭はたくさんあります。

また、リストラにあうというリスクも十分にあります。そういった場合に、一生懸命誠実にやり繰りしていた方たちが、自宅を失い、多額の残債務を一括返済を請求され、自己破産となるのはとても不憫です。

そういった場合の救済的な役割が任意売却という制度です。

しかし、任意売却はとにかく時間が勝負です。事前に知っているのと、滞納してから任意売却ができるなどを知るのとでは大違いです。

ここでしっかりと任意売却を知ってもらい、もし住宅ローンを滞納しそうになったら、是非さっそく、任意売却の信頼できる業社へ相談へいき、手続きをすすめてもらいましょう。

任意売却の流れ

まず、住宅ローンが支払えなくなったらどのような動きをすればよいのでしょうか。

  1. 貯蓄から支払う、もしくは親類など短期的に借りれる知人などに用立ててもらう。
  2. ①が無理なら不動産を売却することを考え、不動産屋で不動産の査定をしてもらう。
  3. 不動産の査定額が、住宅ローンの残債務を上回れば、そのまま一般的な手法で不動産売却を行い、債務を完済する。
  4. そして賃貸住宅などに引越し、新生活を再建することに努める。
  5. 査定額が残債務を下回る場合は、下記のいずれかの選択肢をとることになります。
    • そのまま一般的な不動産売却を行い、残債務だけなんとかく工面し一括返済で完済する
    • そのまま放置し、滞納を続け、差し押さえられ競売になるのを待つ
    • 専門の業者を探し、任意売却の手続きを開始する。

上記のいずれかを選択することができます。

一般的な売却が、売却価額は一番高く売却することができると思いますが、残債務は一括で完済しなければいけません。一括返済を工面できないようでしたら、任意売却か競売の手続きになります。

任意売却を行いたければ、自ら業者を探し、債権者へ交渉しなければなりません。

しかし、競売で自己破産となっても、それが自分たちにはベストであると考えるかたは、そのまま放置していれば競売は債権者主導で勝手に始まり、落札者も決まります。債務者は何もする必要はありません。

どれがベストであるかは、人それぞれ異なります。

それでは、任意売却を詳しく知ると同時に、一般的な不動産売却や競売との違いなどを把握して行きましょう。

任意売却流れ

任意売却の流れ住宅ローンの返済状況競売の流れ
1任意売却の検討、専門業者への相談を開始ローンの返済が苦しくなる
2ローンの支払いが遅れがちになる
3ローン滞納:1~2カ月目金融機関からの督促状や、催告状が自宅に届く
4ローン滞納:3~4カ月目競売申立
「競売開始決定通知」が自宅に届く
5ローン滞納:5カ月目~現況調査
裁判所から執行官が調査に来る(自宅写真なども撮る)
6この時期までに、任意売却の相談を済ませておかないと、手続きが間に合わなくなります。入札の開始
期間入札の通知が届く
7この段階になると、任意売却ができなくなります開札
8売却の許可
9物件の引き渡し(強制退去)

任意売却と一般の不動産販売との違い

任意売却も通常の一般的な不動産売却も、不動産を売却し、売却代金を住宅ローンの返済に充てるという点では同じです。

しかし、大きく異なる点が4点あります。

  1. 任意売却の価格決定には債権者の同意が必要
  2. 任意売却の決定に債権者の許可が必要
  3. 任意売却では、瑕疵担保責任が免除される
  4. 任意売却なら、不動産の売却費用を工面しなくていい

これらの異なる点があるのにはわけがあります。それは、まず一連の主体が変わります。

通常の不動産販売では、主体はあくまで債務者で、業者である不動産屋はただ依頼された不動産を仲介し、売却するということにとどまります。

また、通常の不動産売却では、債権者の同意などは必要ありませんので、あくまで債務者が主体となり、売却の価格から売却先までを決定し、債権者には、売却代金で住宅ローンの残債務を完済するという関わりしかありませんが、任意売却では、主体は債権者である金融機関となります。

様々な決定事項には、基本的に金融機関の承認なしにすすめることはできません。

そもそも任意売却の手続きも、金融機関の承認がないとすすめることができないので、債務者は金融機関の判断にただ従うという流れになります。

とはいえ、こういった理不尽にも感じるようなことばかりではありません。

通常の不動産売却では無い、任意売却なではのメリットもたくさんあります。

これらを詳しくみていきましょう。

①任意売却の価格決定には債権者の同意が必要

通常の不動産販売の手続きを開始する際、まずは不動産の査定を行います。

  • 物件の構造
  • 築年数
  • 専有面積
  • 近隣の環境

などから現況を調査し、同様の不動産が販売されていたりなどの、過去の事例を参考にしたいりしながら、一般的な市場の相場で価格を決定します。

早く売却してしまいたいと考える場合は、相場よりも安く売り出したり、また急がない場合は、査定より少し高い目に価格を設定し、販売を開始してみるという場合もあります。

このように通常の販売では、所有者の望み通りで価格を決定することができますし、販売開始時期、引き渡し時期などまでなんでも自由にきめることができ、債権者の承認などももちろん必要ありません。

もちろん、住宅ローンの支払いが厳しいとなった状況でも、不動産の査定額が残債務を上回る場合は、残債務が一括返済の請求をされる心配はありませんので、金融機関の許可などは必要ありません。(督促状や差押えが開始されている状況では、金融機関の同意が要求される場合があります。滞納が開始すると抵当権が行使されることになりますので、いずれにしても早く売却するに越したことはりません。)

一方、不動産の査定額が、残債務を大きく下回る場合は、不動産を売却しても、多額の残債務を一括請求されてしまいます。

そこで効果を発するのが任意売却という手法です。

任意売却の手続きをとれば、ほぼ通常の不動産売却と同様に売却できます。さらに魅力的なのが、売却代金で、住宅ローンを返済しても、なお残る残債務を分割で返済できるように金融機関へ交渉することができます。

夢のマイホームは失ってしまうけども、家は売却し、賃貸住宅などに引っ越すなどして新生活の再建を図ることができます。

家を失うのは残念だけど、家族と一緒に新生活をしっかりと再建していきたいと考える方には、とても好都合の手続きであることには違いはありません。

しかし、任意売却の手続きには、通常の不動産売却とは異なった、債務者には不利に感じる点があります。それは、不動産販売など一切の手続きの主体が、売主である債務者ではなく、債権者である金融機関になることです。

これは、任意売却の手続きを開始したからという理由ではありません。

住宅ローンの支払いを滞った時点で、債権者の抵当権が行使されることになり、不動産に対する所有者にあった権利は行使することができなくなります。

なので、所有者であっても不動産を売却したりする一切の権利がなくなり、任意売却での売却価格から売却時期、売却先などを決定するには金融機関の承認が全て必要ということになります。

もちろん、売主である債務者も、債権者である金融機関も不動産がより高く売れてより多くの債務が減ることを望んでいるのは同じです。

それほど意見が異なることはありませんが、金融機関はとにかかく、売却の成立を最優先します。

時間がかかりそうな場合や、売却の成立が見込めない場合などは、金融機関から承認を得ることができず、任意売却をすすめることができなくなることがあります。

②任意売却の決定に債権者の許可が必要

通常の不動産販売とほぼ変わりは無いのですが、任意売却は、競売の手続きが完了するまでに売却し、金融機関への返済を済ませておかなければ競売が成立し、任意売却は不成立ということになってしまいます。

すなわち、任意売却には時間的な制限があり、約3カ月で販売から売却、引き渡しまでを済ませなければなりません。

こういった時間の制約は、どうしても不動産の価額に直結してきます。

一般的な相場で、不動産の販売を開始できたとしても1カ月ほどで決まらなけば、価格を下げていかないと、到底3カ月で完了させることはできません。

多少、安く売っても、競売により後に一括返済を請求されるよりかは、ましだと考える方も多いのも実情です。

売り出しで、運良く買い手が見つかった場合は、本当に通常の不動産売却と見た目も、価格的にも変わらずに販売できたと言えます。

しかし、時間が経過するにつれ、価格を下げていかざる負えないので、おおよそ相場の8割程度で任意売却が成立することが多いのが実情です。

とはいえ、競売となれば、良くて相場の7割程度での売却となります。良くて7割程度ですので、当然任意売却の方が残債務を考えれば十分に有効な手段であると言えます。

また任意売却に関する許可は、価格だけではありません。売却に必要な費用を、債務者は現金で支払うことができない状況なので、不動産の売却か、価格から差し引いてもらうことができます。

こちらも独断で決定することはできず、債権者である金融機関の同意が必要ですが、同意さえ得られれば、売却先が決定した後の、引き渡しに際して必要な引越しの費用も、売却価格から差し引いてもらうことができる場合があります。

通常の不動産販売や、競売ではこのような交渉は一切できないので、任意売却ならではの利点でもあります。

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以上のように、任意売却の外観は、通常の不動産売却となんら変わりはありませんし、通常の不動産売却と同等に近い価格で販売できるのでとても魅力的な手法ではありますが、価格以外でもほぼ全ての決定事項で、債権者である金融機関との交渉、同意が必要となることを忘れてはいけません。

③任意売却では、瑕疵担保責任が免除される

瑕疵担保責任とは、法律にも定められている、不動産の売主側の責任、義務となります。

不動産の売主は、過失がなかったとしても、不動産を売却した後に、不動産になんらかの問題が発覚した場合に、補修などの責任を負います。

補修だけでは達しできないような場合には、売却自体がなかったことにすることもできる法律です(売買契約の解除)。

これは、外観では分かりにくい、建物の中身のシロアリや、住んでみてしばらくして気付いた不動産の欠陥などに対して対処しなければならない責任です。

しかし、任意売却の場合、売主は、多額の残債務を負った債務者であることが多く、損害賠償などの請求をされても対応できないことが配慮され、不動産の売却に際し、「売主は瑕疵担保責任を負わない」という特約を付けて販売することが認められています。

任意売却をすることで、窮地を脱した債務者に、再度窮地が訪れ、残債務の支払いを受けている金融機関とも複雑な問題が生じかねません。

以上の理由により、普通の不動産販売より債務者の再生活を応援してくれるような任意売却は、やはり魅力がいっぱいだと考えられます。

④任意売却なら、不動産の売却費用を工面しなくていい

任意売却を行う際、通常の不動産売却と同様に以下のような費用がかかります。

  • 不動産売却に対する仲介手数料
  • 登記費用(所有権移転、抵当権抹消登記など)
  • 引越し費用
  • 新居の初期費用

任意売却に対する費用はありませんが、当然のことながら、不動産の売却を行ったので不動産の仲介手数料を支払わなくてはなりません。

しかし、これは成功報酬で支払うものですから、任意売却が成立しなった場合、業者に支払う費用は原則的にはありません。

任意売却が無事に成立すれば、上記の仲介手数料から、新居の費用まで、ざっと不動産にもよりますが数十万円からとかかる費用が必要です。

しかし、任意売却は通常の不動産販売の場合と大きく異なる点がこちらにもあります。

それは、金融機関に交渉し、同意さえもらえれば、上記費用を売却価額から差し引いてもらうことができます。

なので、残債務は増えることになりますが、多額の現金を用意することなく、新生活をスタートができ、現金を工面することができない状況の債務者にはとても合理的な手法といえます。

家族の構成や、不動産にもよりますが、新生活に必要な新居の初期費用や、引越し費用だけでもさらに数十万円とかかります。

これらの費用も、売却費用から差し引いて、分割で支払っていけるので、債務者にとってはこれ以上の魅力は無いのではないかとも思えます。

任意売却と競売の違い

任意売却では、一般の不動産売却と同様に、一般的な相場に近い額での売却が可能となり、さらには売却代金で足りなかった住宅ローンの残債務を、分割で支払いができるよう交渉することができます。

マイホームは手放さないといけなくなっても、残債務の一括返済を免れることで、分割での支払いを許されるなら、安い賃貸に引越して、残債務を月々支払いながら再生活をスタートすることができます。

また、任意売却では、見た目は一般的な不動産売却と変わらないように売却をすすめることができるので、慣れた環境を離れることなく、近くで賃貸住宅を借りるなどして新生活を無理なく始めることができます。

住宅ローンを多額に抱える世代の多くは、子どもが幼く、できるなら慣れた環境を離れるのは避けたいと思います。しかし、競売になるとそんなことは言ってられません。

競売では、手続きが開始されると、自宅の情報や、個人情報が裁判所などの競売サイトに記載されることになったり、裁判所の所員が何度も自宅を訪れることとなり、近所に知れ渡ってしまうことがよくあります。

そうなると、子どもが学校でいじめられたり、主婦の方々のうわさが広まり、とてもその場所での再スタートを送れるような状態ではなくなることがよくあります。

また、競売では、売却される価額は、一般的な相場の価格よりもはるかに下回り、多くの場合が、多額の残債務が残ってしまいます。

残債務の分割請求の交渉は、ほぼ認められませんので、多額の残債務を一括で支払わなければならなくなり、自己破産するしかないという流れになるのが通常です。

競売を避けたいというの、主に、このように一括での返済ができず、自己破産するしか手がなくなり、自己破産してしまうということになるケースが多く、なるべく競売は避けたいと考えられています。

しかし、このように競売を行い、自己破産してしまう方が自分たちにメリットが高いと考えられ競売を選択する方も多いです。

また、競売は、任意売却と異なり、債務者本人がなにも手続きを行わなくても、債権者である金融機関主導で、裁判所にて競売が始まり、自宅の調査などは裁判所の執行官が自宅に来て勝手に調査を行います。

逆に拒否をしても、調査も強行されるので、なんら出る幕はありません。

時の流れ、競売の流れに身を任せ、競売の落札者が決まると、強制退去の日が決められ、その日までに引越しをすればそれでいいということになります。

任意売却と異なって、金融機関との交渉や、手間もなく、またできるかどうかとドキドキした期間を経ることなく、勝手に進んでいくので、これがメリットと考えられ選択される方もいます。
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任意売却の方がメリットが高いように思えますが、どれが自分たちに有効かは、それぞれ異なるかと思います。家族にしっかりと相談をして、話し合い、自分たちに合った方法を選択するのがいいかと思います。

任意売却のメリットは?

任意売却というのは、新生活の再建を望む方にはとってもメリットが高いものです。

生活が破綻しそうになった時でも、最優先したいのが、家族の今後のことや新生活の再建を何とか図りたいと考えられる方には、利用すべき制度だと考えます。

住宅ローンを組まれる多くの世帯が、子どもが居たりと家族で住まわれる住宅がほとんどかと思います。

そのような世帯の主人が住宅ローンが支払えなくなったら、無念だけれども住宅は諦め、別の場所でも家族で新生活をなんとか再建しようと考えるのが、一般的だと考えられます。

任意売却の魅力はとにかく、新生活の再建を図り易いというところが大きいので考え方によっては、デメリットは無いに等しいとも考えられます。

大切な家族と、第二の人生をと考えらる方は是非参考にして下さい。では、任意売却のメリットをご紹介していきたいと思います。

任意売却のメリットは、

  1. 市場価格に近い価格で売却できること
  2. 売却後の残債務を分割で返済させてもらえるよう交渉できること
  3. 引越し費用、売却費用などを現金で工面しなくていいこと(債権者の承認が必要)
  4. プライバシーを守れること
  5. 引越し時期や条件も交渉次第で決められる
  6. 任意売却の費用は実質ゼロ
  7. 専門の業者が交渉などを行ってくれる

①市場価格に近い価格で売却できること

任意売却の大きなメリットの一つは、なんといっても不動産を一般的な相場とほぼ同等の価格で売却出来ることです。

もちろん、時間が経過しても売却できない場合は、大幅に価格を下げていかないといけない場合がありますが、ほぼ相場の価格で、一般的な不動産売却と価格やみためも同じように売却できます。

しかし、任意売却は望んだからといってできるものではありません。任意売却を望む旨を債権者である金融機関が、販売価格などを見て許可をしないと始めることができません。

なので、一般的な相場を軸に価格を決定できるのですが、債権者は、早く売却し任意売却がしっかりと成立することを望みますので、相場より少しお安い価格になることが多いのです。

債権者の承認が得られましたら、一般的な不動産売却同様、不動産情報誌、不動産情報サイト、また不動産業者が情報を共有する指定流通機構のレインズにも登録されます。

一般の方々から、不動産業者の方まで誰でも自由に任意売却不動産を検討してもらえます。

②売却後の残債務を分割で返済させてもらえるよう交渉できること

住宅ローンの返済を6か月ほど滞ると、銀行などの金融機関は、債務者に対し、残りの債務を一括で返済するよう請求することができます。

これは、債務者は期限の利益を失ったといいます。債務者は期限の利益があることで、住宅ローンなどの大金を借入れしても、分割払いが許されていました。

しかし、債務者が支払いを滞り、金融機関との規約を破ったということになると期限の利益は失うこととなり、分割で支払うことができる権利を失います。

それゆえ、債権者からは一括で請求されても支払うことができず、競売にかえられることになります。

しかし、競売での売却金額は、一般的な市場の相場をはるかに下回る場合が多いので、住宅を売却しても多額の債務が残ることになります。そして、期限の利益を喪失しているため、多額の債務を一括で返済という請求をされることになります。

家を失っても、一括で多額の残債務の返済を請求されたら、新生活の再建をすることが困難になってしまいます。しかし、任意売却手続きをとることで、一括で請求されることを回避することができるのです。

任意売却では、不動産を売却してもなおの残る多額の債務を月々分割で、生活に無理の無い額で返済して行けるよう債権者に交渉することができます。

任意売却がすすめることができるなら、このように、自宅は失ったとしても、賃貸住宅などを借り、新生活を送りながら月々返済していくことができます。

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一括で返済しないといけなくなると、自己破産しないと支払いができる方は少ないので、任意売却では分割払いができるというのはとてもメリットが高いと考えられます。

③引越し費用、売却費用などを現金で工面しなくていいこと(債権者の承認が必要)

任意売却により、一般的な市場の相場で売却できたとしても、

  • 引越し費用
  • 新居の初期費用
  • 任意売却による不動産の仲介手数料

などを支払わないといけない費用が、十万円から数百万円ほどの現金が必要となることがあります。

住宅ローンが支払えなくなった債務者にはそのような現金を工面できないことが普通だと考えられ、生活を再建するためにも不動産の売却費用から、引越し費用などの日ようを差し引き、残債務と一緒に分割で支払って完済することができるよう、金融機関に交渉することができます。

競売の手続きや、一般的な不動産売却だとこういったことは一切認められないので、任意売却ならではのメリットと考えられます。

④プライバシーを守れること

住宅ローンを滞納したことにより、住宅が競売に掛けられると裁判所の執行官や不動産鑑定士が自宅を訪ねて現況調査や、不動産の調査が行われます。

仮に居留守などを使ったとしても、裁判所は権限により強制的に鍵の解錠をすることができ、拒むこともできません。

そのため、ご近所の方に競売に掛けられている事実を知られることになり、近隣の賃貸住宅に引っ越したとしても精神的に苦痛を受けることがよくあります。

さらには、競売に掛けられている情報は、裁判所のホームページや新聞、業界紙、インターネットの情報サイトなどに公開されます。

だれでも競売中であることが知られる状況になるので、会社の同僚や友人にも知られる可能性があります。

しかし、任意売却では、不動産が販売されても、通常の不動産販売と見た目はなにも変わらないので、住宅ローンを滞納してしまっているような事情を知られる可能性はうんと低くなります。

裁判所の執行官が調査に来ることもなければ、裁判所のホームページに掲載されることもありません。ご近所の噂などに精神的に追い詰められる心配もありません。

特に、幼いお子さんがいらっしゃる世帯では、慣れた環境は慣れて新生活をおくるのはとても不安だと思います。できることなら、近くで賃貸住宅などを借りるなどして新生活を再建したいと考える方が多いと思います。

このような意味でも、任意売却はメリットがとても高いと考えられます。

⑤引越し時期や条件も交渉次第で決められる

債権者である金融機関に交渉することで、引越しの費用から引越しの時期や条件を調整することができます。

強制競売となると、期日がくると強制的に退去しなければなりませんので、こういった交渉は一切できません。

しかし、任意売却であれば、購入者との合意で売却が決まっても、最大で2カ月ほどの猶予がある場合が多いのです。

買い手が、無事に決まり、自分たちのペースや計画で新居へ引越しができたり、子どもたちの学校の都合などにも合わせたりすることができるのでとてもメリットが高いと考えられます。

とはいえ、任意売却は競売で落札されるまでに、成立しておかなければなりません。そういったことから必ずしも猶予があるわけではありませんので、注意が必要です。

⑥任意売却の費用は実質ゼロ

こんな魅力的に感じる任意売却を、業者に依頼して、手続きをすすめてもらうのに、なんと任意売却の費用を請求されることは、一般的にはありません。

もちろん不動産の売却で必要な不動産取引の仲介手数料は不動産屋へ支払わなければなりませんし、一般的に必要な登記費用なども支払わなければなりません。

しかし、任意売却では、そういった費用が支払えないということを想定としているので、不動産の売却費用から差し引いてもらうことができます。

債権者の承認さえ得られれば、不動産の売却費用から仲介手数料などは割り当てられ、債権者へは残債務と一緒に分割で支払っていくことができます。

競売や、一般的な不動産売却では、かかる費用は工面して支払わないといけないので、任意売却特有のメリットだと考えられます。

また、任意売却では特別な手数料などを請求されることはありません。

悪徳な業者だと仲介手数料以外の不法な手数料などを請求されることがありますので、任意売却では業社を選ぶことも、とても重要で慎重に行わなければなりません。

⓻専門の業者が交渉などを行ってくれる

任意売却の手続きや進行は、素人では判断が難しい法律の知識や不動産の知識が必要となります。

さらには、債権者である金融機関との交渉をしていかないといけないので、金融機関の傾向などを把握していて、実績のある業者に依頼することが重要と考えます。

ここで、悪徳任意売却業者にひっかからないための3つのポイントを紹介します。

悪徳任意売却業者に引っかからないための3つのポイント

  1. 弁護士などの法律の専門家が主体となっている業者であるかどうか
  2. 税理士、宅地建物取引主任者など不動産売却に関して精通している者がいるかどうか
  3. 「任意売却専門」などのうたい文句にだまされない

①弁護士などの法律の専門家が主体となっている業者であるかどうか

任意売却は、債務整理の一種ですので、債務整理に精通している業者である必要があります。

債務整理とは、そもそも過剰にまた、多種の債務を整理し、債務者が支払いを続けれるよう整理するものですので、法律の知識や経験が必須となります。

一般的にも債務整理をする場合は、弁護士事務所や司法書士事務所へ相談にいき、代理人となってもらうことが多いはずです。

任意売却も債務整理の一種ですので、法律家が主体となって問題に取り組んでくれる業者であることが重要であるとお分かり頂けるかと思います。

不動産会社には、多くの場合、顧問契約を締結している顧問弁護士というものがいます。しかし、そういった弁護士が必ずしも、任意売却に精通しているとは限りません。

しっかりと任意売却に関しての実績やノウハウがある弁護士などであるか、またその弁護士などの法律家が主体となって動いてくれる業者であるかを判断して行かなければなりません。

②税理士、宅地建物取引主任者など不動産売却に関して精通している者がいるかどうか

任意売却は、不動産取引が重要です。売却を短期間で高条件で成功させなければなりません。

そして債務をできるだけ返済し、残債務を少なくしなければなりませんので、法律家がいるだけでなく、宅地建物取引業の免許をもっていて、不動産売却に実績のある方が必要になります。

ただ不動産の売却ができる不動産屋ではなく、法律の知識や経験などがある特殊な専門知識が備わっている不動産会社でなければなりません。

大手の不動産会社であるからといって、任意売却に精通しているわけではありません。有名な大手の会社でも、任意売却が成立せず、競売になってしまったという事例は多数あります。

任意売却の業者を探すうえで重要なのは、業者の知名度などではなく、どれだけ任意売却に関して実績やノウハウがあるかが肝心です。さらに、法律家などが一緒に問題に取り組んでくれる業者であることが重要といえます。

③「任意売却専門」などのうたい文句にだまされない

任意売却を成功させるには、法律や不動産の知識や経験が豊富であることが重要です。

弁護士や、宅地建物取引主任者だけでなく、税理士、司法書士、不動産鑑定士などの専門家の判断が必要な場合が多々あります。

いかにその業者が多くの専門家と連携がとれているかなども把握しておくことが必要です。

任意売却では、通常の不動産売買に必要な不動産仲介手数料や登記費用などを除いて、特別な手数料がかかることはありません。

しかし、「手数料」、「販売促進費」、「任意売却申請費」などの費用を請求される場合があります。

不動産取引では、こういった費用の請求は認められていません。こういった行為は宅地建物取引主任者違反になり、法律に反することになります。

もし、初めに任意売却の相談に行った際に、こういった話が出た場合や、怪しいと思われる場合は、その業者を避けるか、警戒をしておく必要があります。

任意売却を選ぶべき方とは?

一般的に不動産を売却することができない場合、残る選択肢は、任意売却の手続きを開始するか、放置して競売となり自己破産をするかのどちらかということになります。

一般的には、自己破産を避けたり、近所に知られることを避けたいと思い、競売にならないようなんとか任意売却を成立させようとします。

多くの場合の方が、任意売却のメリットが自分に好都合で、任意売却を成立させたいと思います。

特にご家族がいて、今後も家族と新生活を再建していきたいと思われる方は任意売却を選ぶべき方といえます。

逆に単身の方や、任意売却のメリットがメリットと感じられない方は、任意売却を選ぶべき方とは言えないかもしれません。

すなわち、任意売却を選ぶべき方ではないということは、競売がメリットとなる方とも言えるのではないでしょうか。

競売がメリットとなる方は、

  • すでに弁護士などの法律家と相談し、自己破産を予定しているもの
  • 住宅ローン以外でも多額の借金をしていて、自己破産が向いていると考えるもの
  • 単身で、噂などは気にしないもの
  • 家族がいてもすでに別居をしているもの
  • 不動産の処分の手間が競売である方が楽と感じる方
  • 任意売却の債権者との交渉、購入希望者などとのやり取りを煩わしいと考えるもの
    etc

以上のような方が競売が向いている方と判断できます。

住宅ローンの残債務が多額に残ってしまう方に残された選択肢は、任意売却か競売しかありません。

数年前までは、競売が一般的でしたが、近年は任意売却の制度も良く知れ渡り、取り扱う専門業者も増え一般的となりつつあります。

多くの方には、任意売却が有効に働くと考えられ、競売にならないようになんとか任意売却を成立させたいと望まれます。

任意売却は、一般的な相場の価格に近い価格で売却をすることができ、より多くの債務を減らすことができます。そして、任意売却ならではの魅力となる、不動産を売却後、なおも残った債務を分割で返済できるように交渉することができます。

それによって、新生活を送りながら返済することができ、新生活の再建を図ることができます。

もちろん月々の返済も、新生活の再建に無理の無い範囲でと考えられており、月々5,000円から50,000円などと比較的低価格での交渉も許されているようです。

さらには、競売のようにローンの返済を滞ったなどの事情を知られることがないので、慣れた環境を離れることなく近所で賃貸住宅などを借りて住むことができます。

地域の小学校に通う子どもを転校させることもなく、またお年寄りと同居されている方なら、より慣れ親しんだ街を離れるのは、精神的に辛いことでしょう。

それらを回避することができる任意売却は、家族と共に新生活を迎えることができ、現在のあらゆる状況をなるべく変えずに新生活をスタートすることができる可能性が大いにあります。

住宅ローンの支払いができなくなったときに、一般的な売却をするか、任意売却をするか、競売をするかは、その後の生活のなにを望むかが選択のポイントだと思います。

そのような場合に、任意売却のメリットが自分に最適であると考える者が任意売却をすべき者と考えます。

任意売却が、認知され広がっているというのも、実際により多くの人が、任意売却のメリットに魅力を感じ、なんとか家族揃って、家族の精神的な負担などもなるべくかけずに済む、任意売却を成功させたいと考えているからなのではないでしょうか。

誰にでも、突然住宅ローンが支払えなくなる可能性はあります。

そういった方が理不尽い家を退去させられるのではなく、しっかりと生活をリセットして、新生活の再建ができるよう救済的な意味合いのある任意売却がもっと認知され、有効に社会で働けばと考えます。

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