不動産を共有名義で所有していると、その共有名義人の誰かが自己破産をした場合、たとえば、夫婦の連帯債務で自宅を購入したものの、夫が自己破産、または兄弟で住宅を遺産で相続して、兄弟のどちらかが自己破産をした場合などの際には、住宅を競売にかけられてしまうのか、そして、住宅を手放さずに済む方法はあるのか、また任意売却をすることは可能なのでしょうか。
目次
共有名義人が自己破産した場合
共有名義で住宅を所有している場合、他の共有名義人が自己破産してしまった場合、住宅はどうなってしまうのでしょう?
この問題については、大前提として住宅ローンの有無により話が異なってきます。そのため、共有名義人の自己破産が問題となるのは下記のケースです。
- 連帯債務により共有名義になった場合で住宅ローンが残っている場合
- 相続により共有名義になった場合で、住宅ローンが残ってない場合
この2つのケースは現実問題、起きる可能性があると思われます。
連帯債務により共有名義になった場合で住宅ローンが残っている場合
夫婦の連帯債務の住宅ローンで夫(妻)が自己破産をするケースは、非常に多くあると思われます。つまり、連帯債務でまだ住宅ローンが残っている状態で、どちらか片方の共有名義人が自己破産をしてしまった場合です。
この場合、住宅ローンには抵当権が必ず設定されています。そのため、夫の持分だけに設定されているのではなく、連帯債務の住宅ローンとして住宅全体に1つの抵当権が設定されています。
住宅を失わないようにするためには?
もし、相手が金融機関だけであれば、妻の支払能力がある場合、住宅ローンの名義を妻の単独名義に変更するような交渉をするという選択肢があります。ただしこの方法は、実際問題として難しいです。そのため、この時点で話がこじれることになるでしょう。
この方法を利用することで、夫の共有持分を妻に譲渡して、残りの住宅ローン全額を妻の名義に変更する、もしくは他の銀行に借り換えをするという方法があります。
しかし、共有名義人が自己破産した場合、破産管財人との交渉も関係してきます。もし、住宅ローンの債権者である銀行が了承したとしても、自己破産した夫の共有持分が破産管財人に差押えられることには変わりはありません。
しかし、担保の半分だけを競売にかけることは、今度は債権者である銀行が許可しません。
実務での運用
では、実務上の運用、手続きの流れを紹介していきます。
たとえば、銀行に連帯債務の住宅ローンが500万円残っているのであれば、夫が自己破産した場合、この時点でもし保証会社がついていれば、保証会社は銀行に500万円を一括で返済します。もちろん、肩代わりした500万円は保証会社や連帯債務者に求償されます。
つまり、債権者が銀行から保証会社に代わってしまいます。
そうなってしまった場合、銀行はこの話とは関係ない立場となります。当然、銀行との間で交わした「毎月、〇万円ずつ分割で返済します」という住宅ローン契約も保証会社との間では関係がありません。
保証会社は、残りの全額を一括返済するよう請求する権利があります。なぜなら、期限の利益を喪失しているからです。期限の利益とは分割して返済をする権利です。この権利を喪失していますので、一括で返済することができないのであれば、住宅を競売にかけて回収することができます。
連帯債務で住宅を手放さずに済む方法はあるのか?
連帯債務で住宅を手放さずにすむ方法はないのかといえば、実は1つだけあります。結論から延べれば、夫の持ち分を任意売却にて購入して、債権者には住宅ローン全額を一括返済するという方法です。
たとえばですが、住宅の評価額が500万円(夫の共有持分250万円)、住宅ローンの債務が1000万円と仮定します。
この場合、夫の共有持分250万円を元妻が買い取ります。そして、この売却代金はほぼすべて、優先債権者の金融機関に配当されます。そのため、この分は間接的に住宅ローンを返済したことになります。
また、売却代金のうち、5%程度(12万5000円)は破産財団組入金として、破産管財人に譲渡します。これにより、破産管財人は納得します。
残りの237万5000円は金融機関に配当されます。金融機関への債務額は残り762万5000円になります。これを、元妻が現金一括返済すれば、住宅ローンの問題もすべて解消しますので、債権者がかけている抵当権も外れて、なんの権利もついていないきれいな住宅が残ります。
また、一括返済のための資金を他の銀行から元妻の名義で借り入れることはできないものか、と考えるかもしれませんが、これは妻の年収が十分にあって勤務先や年齢などの属性が良く審査に通れば、実行できる可能性は高くなるかもしれません。
現実ではない選択肢
これは、あまり現実的ではありませんが、自己破産者がどこからか資金の援助を受けて、そのお金を配当に回すことによって不動産の売却を免れる可能性があります。
そんなことは現実問題できませんから、この選択肢は期待するべきではないでしょう。
破産財産組入額について、なぜ払う必要があるのか?
住宅の所有者が自己破産した場合、その所有者は財産のうち高額なものはすべて破産財産といて差押えられてしまいます。破産者の財産は、裁判所の破産手続きを通じて債権者に配当される財源になります。これは、勝手に所有者が処分できなくさせるためです。
このように抵当権者には、破産手続きに関係なく強制競売により自分の借金を優先的に回収することが認められています。まず、これがあることが大前提になります。
債権者が競売ではなく、任意売却をしたい場合
銀行などの債権者が競売ではなく任意売却により住宅を売却したいと考える場合は、どうなるのでしょうか。
競売の場合だと、任意売却に比べて2~3割は売却価格が下がってしまいます。当然ですが、回収することのできる金額もその分、少なくなります。そのため、抵当権者の立場からすると、できれば競売ではなく、任意売却で処分したい、と考えるでしょう。
任意売却には、裁判所の許可が必要であり、また住宅の管理処分の破産管財人にあります。売主は所有者ではなく、破産管財人になります。つまり、破産管財人の協力が必要不可欠になります。
破産管財人への報酬(協力費)として破産財団組入金を支払う
任意売却をするには、破産管財人が当事者として関与する必要があるのです。しかしながら、ただ、普通にオーバーローン状態(住宅ローンの残債務>住宅の売却額)の住宅を任意売却にしても、メリットがあるのは抵当権者だけです。
住宅ローンの残債が1000万円、時価が500万円の住宅を任意売却したとしても、そのままだと売却代金は全額、第1抵当権者に配当されます。しかし、他の債権者には配当されませんので、何の恩恵も受けることがありません。これでは、破産管財人が関与して自己破産を協力するメリットがありません。
この破産財団への組み入れ金は、決まった規定があるわけではありません。破産法上も制度として明文化されていません。そのため、組入金については、双方が合意できなかった場合、債権者は本来の権利である抵当権を行使して住宅を売却にかけることができます。
破産財団組入額の相場は売却価格の3~5%程度
具体的には、この破産財団組入額はどの程度払えばいいのかといいますと、慣例的に3~5%が相場です。
破産財団への組入金は何を根拠に計算されるのか?
この破産財団組入金はいろいろな解釈があります。破産管財人が関与することで、仲介手数料のような役割を果たしていると考えれば、不動産売買の仲介手数料は3%が相場なので、3%が妥当であるという意見があります。
これは、破産法100条にて規定されています。
(破産債権の行使)
第百条 破産債権は、この法律に特別の定めがある場合を除き、破産手続によらなければ、行使することができない。
つまり、差押登記をしていた破産者債権者の立場からすれば、本来、受け取れるはずだった担保解除料を受け取ることができなくなります。その分もかねて破産財産に多めに組み入れるべきだとする意見もあります。
10%を主張されることもある
裁判所や破産管財人によっては10%を主張するケースがあります。すべてのケースではありませんが、破産管財人によっては、売却価格の10%の組入金が必要と主張するケースがあるのです。地裁の運用方針で10%の組入金がなければ任意売却を許可しないというルールを採用している場所もあります。
この場合、任意売却の専門の不動産会社に依頼して粘り強く交渉するしかありません。
住宅金融支援機構が債権者の場合
住宅金融支援機構は、担保解除料や差押登記のある税金についても、他の銀行などの金融機関と比べると厳しめの水準を設定しており、控除費用を限定しています。また、引っ越し費用も基本的にはでませんが、自己破産をした場合は認められています。
破産財団組入額は誰が支払うものなのか?
破産財団組入額について紹介してきましたが、破産財団組入額は誰が支払うものなのかという問題があります。
任意売却の場合、売却代金から必要な諸費用を差し引いた金額は、通常、抵当権の設定順に応じて配当されます。
抵当権者の誰かの取り分を減らさなければ、破産財団に組み入れられません。では、誰の取り分を減らすのか、という配当割合の問題が残ります。
複数の抵当権者に配当がある場合、たとえば、第2抵当権者までいると、原則として第2抵当権者が破産財団組入額を支払うことになります。
これは、なぜかといいますと、第1抵当権者は、任意売却ではなく競売であっても全額を回収できます。しかし、競売の場合、第2抵当権者は競売になった場合、配当を得ることは難しいでしょう。そのため、任意売却の恩恵を一番受けるのは、第2抵当権者が、破産財団組入額を負担するのが原則です。
兄弟で相続した共有名義の住宅で兄が自己破産した場合
次に、相続により兄弟で共有名義になっている住宅で、兄が自己破産する場合があります。持分割合は5:5です。
この場合、破産管財人により兄の持ち分は差押えられるのですが、兄の持ち分は2分の1だけしか、当然しか差押えることができません。自己破産の手続きには弟は関係ありませんので、弟の持ち分までは差押えられることは絶対にありません。
- 何もしない。共有持分が競売になっても放置
- 破産管財人の許可を得て、住宅を任意売却する
- 兄の共有持分を破産管財人から買い取る
- 兄の共有持分が競売になるまで放置して、競売で落札する
この4つの方法があります。4番目はかなり稀なケースであるといえます。現実問題、利用する方は多くないでしょう。
兄の共有持分だけが競売にかけられた場合について
兄の持ち分が競売にかけられた場合、弟の持ち分が競売にかけられることはありません。住宅に住んでいたとしても、追い出されることはありません。
そのため、競売にかけたとしても入札する人はあらわれず、破産財団から放棄される可能性があります。競売で売却することができない物件をいつまでも抱えていても破産手続が進みません。そのため、破産管財人は破産財団から住宅を放棄して、持ち主のところへ戻ってきます。
ですが、転売して利益を得ることを目的として、共有持分の物件を落札する不動産業者が存在します。
転売業者に共有持分分割訴訟を起こされる
前述した転売目的で共有持分を落札した業者は、他の共有名義人の持ち分の買い取りを持ちかけてきます。
この場合、もう一人の共有名義人である弟へ、「兄の共有持分を落札したけど、300万円で購入しませんか」と持ちかけてきます。
競売で落札した価格より高額で売却しなければ、業者に利益は出ません。もし、ここで買い取った場合、割高で共有持分を購入させられてしまいます。
しかし、普通はこんな申し出は断ると思います。
民法258条には、
1.共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2.前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。
つまり、共有名義人は、法律上、住宅の分割を裁判所に請求する権利を有するのです。
つまり、競売にて落札した業者が裁判所に「共有物分割訴訟」を提起すると、裁判所は住宅を競売にかけて売却し、売買益の現金を2等分しなさい、と命令を出します。この場合、今度は兄の共有持分のみならず、弟の所有している共有持分も含めた住宅全体が競売にかけられてしまうことになります。
弟は自身で入札することも可能ですが、この場合、確実に落札できるかわかりません。
共有名義を解消するための共有物分割の3つの方法
ちなみに、共有名義の不動産で、共有関係を解消するための手続きを共有物分割と呼びます。
共有物分割には、共有名義人が皆で協議して決める場合、誰かが裁判所へ共有物分割訴訟を提起して、裁判所に分割方法を決めてもらいます。
裁判所に共有物分割請求をいきなりすることはできません。まずは、当事者間で話し合いを試みて、それでも話がまとまらない場合に限り、裁判所に分割を依頼することができます。
また、任意で協議するにしても裁判所に訴訟を提起するにしても、共有物分割の方法は3つしかありません。
- 現物分割
- 代金分割
- 価格賠償
この3つになります。
任意協議、裁判いずれの場合でも3つの方法のうち、どれかを選択することになります。
現物分割
物理的に不動産を分割する方法です。共有名義の土地であれば、まず分筆登記という登記簿上1つの土地を2筆以上に分筆する登記をおこない、複数の土地に分割します。
このままでは複数の土地を共有名義で所有している状態になるため、それぞれの共有持分を他の共有名義人に移転しそれぞれの土地が単独名義になるように配分をします。
代金分割
戸建住宅や分譲マンションなど、多くの場合、建物は物理的な分割ができません。無理に分割しても買い手が付きません。
そのため、共有名義の住宅をまるごと売却し、その売却代金を共有名義人のそれぞれの共有持分に応じて分配します。話し合いで代金分割にする場合は任意売却、裁判で代金分割にする場合は競売になります。
価格賠償
1人の共有名義人が住宅を所有する代わりに、他の共有名義人には、持分に応じた価格を支払う方法です。話し合いで価格賠償する場合には、単に共有分を他の共有名義人に売るのと同じ意味になります。裁判で価格賠償になる場合、強制的に他の共有名義人の持ち分を買い取る方法ともいえます。
この価格賠償については、具体的なイメージを思い浮かべるのが難しいと思います。具体的な例としては、相続後3人(長男、次男、三男)の共有名義になっている住宅に、長男がこのまま家に住み続けたいと強く希望する場合です。
戸建て住宅の場合、現物分割は難しいので、代金分割となると住宅を売却して手放さざるを得なくなります。そのため、長男も自宅から引越して出て行かなければなりません。そのため、もし長男が相続した家に住み続けたいという場合には、次男・三男(相続人)から持分を買い取る必要があります。
共有持分の転売で利益が出る理由
競売にて共有持分を落札した業者は、共有物分割訴訟でまた持分を競売にかけて落札をします。では、なぜ利益がでるのでしょう。競売で落札し、さらに競売で売るだけで利益が出るのは不思議です。
この理由ですが、共有減価というものにあります。共有持分の住宅は利用価値がいちじるしく低いので、一般の競売よりさらに3割程度、安い価格にて売りにだされます。この3割程度減額で売却されるのが、共有減価となります。
ここで、差額が発生して転売する不動産業者の利益が発生するのです。
弟の持ち分を破産管財人から買い取る方法
放置するのは、損をする可能性があります。そのため、破産管財人から買い取る必要があります。ここでは、自己破産した兄の共有持分を買い取る方法について紹介します。
最初に気をつけなければならないのが、自己破産をすることがすでに決まっているという状態です。直接、親族間での共有持分の贈与や売買をしてはいけません。
自己破産直前に、贈与や譲渡を受けてはいけない
住宅を手放したくないと考える破産者が、自己破産の直前に、親族へ住宅を贈与したり、安い価格で売却する(低廉価格)で売却することで差押えを免れようとする方がいます。
しかし、これらの行為は、裁判所や債権者から財産隠しと見なされ、「詐害行為」として取引そのものを否認されてしまいます。詐害行為は自己破産の免責不許可事由の一つに該当しますので、免責を得ることができなくなる可能性もあります。これは破産法にて決められています。
第二百五十二条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
一 債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
ただし、適正価格での売買であれば兄弟間でも問題ないと判断されます。不動産の場合、何が適正価格なのかを一概に判断するのが難しく、債権者に詐害行為と言われてしまう可能性があります。
破産管財人から共有名義人に買い取りの打診がくる
兄が自己破算を裁判所に申立てると、裁判所から破産管財人が選任されます。破産管財人は債権者全員の代表として、破産者の住宅などの財産を1円でも高額で売却して、債権者に配当するのが仕事になります。
一般的に、共有名義の住宅が自己破産になった場合、破産管財人はまず他の共有名義人に買い取りませんかという意思を確認してきます。
共有名義人である弟は、原則として破産管財人からの買い取りの打診がくるのを待てばいいのです。
共有持分はいくらで買い取りができるのか?
破産管財人が、いくらで共有持分を売却するという具体的な基準はありません。破産管財人の仕事は債権者のために1円でも高額で住宅を換価することであり、1円でも高額な価格を提示してくれた人に売却します。
もし共有名義人である弟が500万円で買うといっても、他の不動産業者が600万円で買うよといえば、破産管財人は不動産業者へ売却します。親族や共有名義人が優先されるということはなく、高く買ってくれる人が優先されます。
破産管財人は、競売以外の方法で住宅を売るには、裁判所の許可が必要です。
これは、破産法78条2項1号にて定められています。
(破産管財人の権限)
第七十八条 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した破産管財人に専属する。
2 破産管財人が次に掲げる行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
一 不動産に関する物権、登記すべき日本船舶又は外国船舶の任意売却
あまりに低い金額では、裁判所が許可を出しませんので、破産管財人としても、最低でも固定資産税評価額くらいは回収することができなければ、共有名義人への売却を認めない可能性が高くなります。
任意売却の検討
買い取り資金を用意することが難しい、そして、そもそも住宅を買い取るつもりがない場合は、任意売却を検討するのがベストでしょう。つまり、弟が自分の持ち分も含めて任意売却を検討するといいでしょう。
住宅全体を任意売却する場合、共有名義人の同意が必要になります。つまり、兄と破産管財人の管轄にあるうちに任意売却をしなければ、他人の手に渡ってからでは持分すらも、うまく売り抜けられない状態になる可能性があります。
共有持ち分だけを売却する場合、住宅全体が競売にかけられる場合に比べ、高額で売却することができます。
強制競売になるよりは、任意売却がベスト
一括返済が難しい場合など実際問題、住宅を手放すしかありません。しかし、その場合において、ただ競売で手放すよりは、任意売却にした方がメリットはあります。
実際問題、厳しい話であるのであれば、競売で住宅を手放したとしても、それで終わりではありません。たとえば、オーバーローン状態であれば、住宅ローンの残債務が残ります。例えば、住宅ローン残債が1000万円で、住宅の競売での住宅価格が500万円であるのであれば、500万円は債務として残ります。
共有名義人の自己破産のせいで、住宅を手放さないといけない、というのは、納得できない面も多くなりますが、少しでも有利な条件でリスタートするためには、最後まで投げやりにならずに任意売却を検討することも必要です。
まとめ
共有名義人の誰かが自己破産をするケースとして、
- 連帯債務により共有名義になった場合で住宅ローンが残っている場合
- 相続により共有名義になった場合で、住宅ローンが残ってない場合
このようなケースが一般的です。
特に離婚した元夫婦の場合に起こりやすいのが、「連帯債務により共有名義になった場合で住宅ローンが残っている場合」であり、相続により自宅を手に入れた後に起きるのが、「相続により共有名義になった場合で、住宅ローンが残ってない場合」です。
まず、連帯債務により共有名義になった場合で住宅ローンが残っている場合ですが、この場合、住宅にそのまま住み続けるというのは現実的には困難な話になります。
住宅を手放さずにすむためには、自己破産した者の共有持分を任意売却の形で住宅に住みたい者が買い取り、破産問題を解消します。そして、残りの住宅ローン債務を金融機関に一括返済し、抵当権を解除してもらうという手続きを踏まなければなりません。
また、3%~5%程度は破産財団組入金として破産管財人に渡さなければなりません。
現実問題、莫大なお金が一気にかかりますので、任意売却をしてしまった方がいいでしょう。
そして、相続により兄弟で自宅を相続し兄が自己破産した場合、弟が取れる行動は、
- 何もしない。共有持分が競売になっても放置
- 破産管財人の許可を得て、住宅を任意売却する
- 兄の共有持分を破産管財人から買い取る
- 兄の共有持分が競売になるまで放置して、競売で落札する
これらになります。
4つ目の兄の共有持分が競売になるまで放置して、競売で落札するというのは、そこまで現実性のある話ではありません。
そして、一番面倒くさくなるのが、何もしないで、共有持分が競売になっても放置するのはよくありません。転売屋により高く買わされてしまうか、強制的に競売にかけられてしまいます。
相続した自宅にそこまで思い入れがないのであれば、任意売却をして処分してしまった方が楽でいいのではないのでしょうか。