任意売却をするときに業者選びというのは非常に重要になります。任意売却をすることができる業者とは、宅地建物取引主任者を擁する不動産業者です。任意売却をすることができる業者選びを失敗してしまうと、売り手、買い手、その両方が不利益をともなう可能性があります。つまり、任意売却は不動産業者選びが大切です。
今回は任意売却の業者選びで、選ぶべきではない業者について紹介をします。
目次
任意売却は専門の不動産業者へ
任意売却をする上で注意したいのが業者選びです。
たとえば、宅建免許を持たない不動産ブローカーという存在がいます。不動産ブローカーの存在自体は違法ではありません。
しかし、無免許で不動産取引をおこなうことは法律により禁じられています。報酬を得た時点で違法行為なのです。(宅地建物取引業法第12条)
では、免許を持っていない不動産ブローカーというのは何をするのかといいますと、物件の売り手と買い手の間に入り、物件価格を操作し報酬を得る存在です。結果として、売り手、買い手、その双方が不利益を被る可能性があります。
任意売却の場合になると、普通の不動産売買とは異なり債権者との交渉、調整をしなければならず、不動産売買の承諾を債権者へ認めさせる必要があります。さらに、自宅を手放す売り手のアフターフォローも必要となるでしょう。
宅建免許を取得している正規の業者を調べる方法としては、国土交通省のWebサイトがあります国土交通省のWebサイトで正規の業者か確認してから、任せる業者を選ぶべきです。
不動産業者以外への相談
- 司法書士
- 行政書士
- 弁護士
- 自称・不動産コンサルタント
などが任意売却の専門家として活動しています。
しかしながら、これらの職種の方に相談をしても最終的には専門の不動産業者のもとに話は回ってきます。任意売却は不動産取引の一つであり、それを業務として扱えるのは宅建物取引主任者を擁する不動産業者のみになります。
弁護士
債務整理の一つである個人再生を利用することができる要件が整っているのであれば、任意売却業者ではなく最初から法律のエキスパートである弁護士に依頼をしてしまった方がいいでしょう。
なぜなら、個人再生という手段があるからです。個人再生とは住宅ローン以外の借金を合法的に減額させることができる上、住宅ローンのリスケジュールや元本据置をすることができる制度です。
ただし、個人再生は必ず借金を返済することが前提になりますので、誰でもできるというわけではありません。また、時間もかかりますので早い段階で弁護士の力を借りなければ実行するのが難しい債務整理の一つです。
司法書士でも個人再生の書類作成をすることはできますが、代理権を持っていませんので、債務者が自分でおこなうことが多くなります。結果として、住宅ローン破たんをして精神的に追い詰められている状態でさまざまなことをしなければならず、おすすめはできません。
費用面から考えれば、司法書士の方が依頼料は安いのですが、司法書士へ依頼をしても個人再生委員を裁判所が選任しますので、弁護士の費用と比較をしても優位性はそこまで高くありません。
また、弁護士へ相談をした場合、30分で5,000円~1万円の相談料が発生します。
しかし、不動産会社は成功報酬による仲介手数料以外の報酬を得ることは禁止されています。つまり、相談は無料です。
もし、弁護士へ依頼することがベストであると判断された場合は、提携弁護士などを紹介することもあります。
逆に弁護士へ最初に相談をしてしまうと、任意売却が必要だと判断された場合、弁護士は不動産売買の仲介をすることはできませんから、任意売却業者へ丸投げをすることになります。しかし、弁護士の多くは任意売却がどのくらい複雑で特殊な業務なのかを知らないというのが実情です。
結果、任意売却の知識や経験がない不動産会社に丸投げをしてしまい、住宅ローンの残債務のために自己破産をしなければならなくなってしまうケースもあります。
債務整理として自己破産などの法的処置も検討しているのであれば、弁護士に相談することになりますが、弁護士への相談は住宅を任意売却にて処分してからの方が合理的です。
つまり、自己破産をしてから任意売却をするより、任意売却をしてから自己破産をした方が、裁判所へ納めるお金の額を安く抑えられる可能性が高くなります。
危険な業者について
これから、任意売却の依頼をすると損をする可能性がある業者について紹介をします。
すべての任意売却の専門業者が債務者の立場に立ち、任意売却に取り組むわけではありません。任意売却のプロを自任してアピールする専門業者が少ない一方で、弱みに付け込んでお金を得ようと画策する業者が多いのも事実です。
つまり、
そのため、信頼できる業者をいかにして選ぶのかどうかが大切になります。大切になりますが、それが難しいのが現実です。
1.調子のいいことばかり言う業者
たとえば、引越し代というのは売買が成約しなければ出ませんし、引越し代は債権者側との合意のもとに配分されます。そのうえで、現在では引越し代が出ないケースが一般的です。住宅金融支援機構の場合、自己破産をすることが前提の場合のみ引越し代が出ます。
つまり、引越し代は最初から出るかどうか確約することはできません。また、任意売却業者によって金額が大きく変わることはまずありません。
任意売却物件が必ず売れるとは限りませんし、時間も限られています。期間限定内で絶対に売れるとはいえません。任意売却を成功させる上で重要なのは、そのスキルと成功率の高い業者を選ぶことが必要です。
2.他社・他業者の悪口を言う、モラルが低い業者
ある意味では、前述した「調子のいいことばかり言う業者」と似ている存在です。
また、このような業者の中には、独自のノウハウを持っていない業者が多くなります。そのため、他社のダイレクトメールやホームページを無断転用するような業者というのも実際に存在します。
3.お金で釣ろうとする業者
お金で釣ろうとする業者も避けた方が良い業者であるといえます。
住宅ローン破たん者にとって現金とは何が何でも欲しいものです。その弱みに付け込む業者も多く存在します。
選任媒介経過さえ結んでしまえば、不動産業者に仲介手数料が入りますので、「引越し代なんて話をしましたっけ?」となります。
また、引越し代の捻出というのは債権者の好意であるといえます。その好意で引越し代が捻出されたとしても、業法違反ですが、その大部分を交渉手数料として業者が交渉手数料として抜いてしまうケースもありました。
たとえばですが、最初は100万円の引越し代を捻出するといっていたのに、話が進むにつれ徐々に下げられていき、最終的には引越し代0円、もしくは競売です、と半ば脅しをかけてくることもあります。
債務者としては引越し代が0円だとしても競売よりましなので、任意売却業者の脅しに屈してしまうわけです。
4.債務がゼロになると嘘をつく
任意売却とは、残債務が残ることでおこなわれる不動産取引行為なので、債務が0円になるのであれば任意売却ではなく、普通の不動産売買で十分です。
任意売却をして、すべての債務を払うことができるというケースは、アンダーローン状態であり、アンダーローン状態というのは極めて稀です。通常は売却代金との差額が債務として残ります。
また、残債務を債権者である金融機関が帳消しにすることは絶対にありません。サービサーが債権を買い取った場合、債権を放棄するケースというものもありますが、ケースバイケースであり、債務が最初から0円になると確約することはできないのです。
このように、債務者の無知に付け込みいい加減なことをいう業者に任意売却を依頼した場合、債務者が不利益を被ることになるでしょう。
悪徳業者のさまざまな手口
悪徳な任意売却業者ではなく、単純に悪徳業者について紹介をします。
まずは、裁判所の関係者を装って、競売を取り下げます、任意売却できますよ、といってアプローチをしかけてくる存在です。俗にいう事件屋という存在です。結果として、任意売却が成立しないとしても、手数料を請求する業者も存在しますので注意をする必要があります。
前述しましたが、任意売却による不動産取引媒介をすることができるのは、宅建免許を持ち、任意売却のノウハウを持っている不動産会社のみです。任意売却については、裁判所も弁護士もコンサルティング会社もすることはできません。
裁判所に関しては競売をすることははできますが、任意売却はできません。
ブローカーや整理屋、事件屋、無責任な不動産業者、悪徳任意売却業者については競売をする際に裁判所から送られてくる注意書により、注意するよう注意喚起されています。
何をおいても騙されないように注意をしてください。競売になり配当要求終期の公告をされた時点で個人情報が公開されますので、さまざまな業者がアプローチを仕掛けてきます。
まとめ
任意売却は、宅地建物取引業免許を持った不動産業者しか、不動産売買の仲介取引をして報酬を得ることはできません。しかしながら、宅建免許を持っていない不動産ブローカーは物件の売り手と買い手の間に入り、物件価格を操作して報酬を得るということをします。
この不動産ブローカーは、競売となり裁判所の配当要求終期の公告を見て、アプローチを仕掛けてくる悪徳の業者になります。
- 司法書士
- 行政書士
- 弁護士
- 自称・不動産コンサルタント
などが任意売却の専門家として活動しています。
ただし、不動産業者以外は宅建免許を持っていないので、不動産売買に携わることはできません。
債務整理の個人再生ができるのであれば、弁護士へ依頼をした方がいいのですが、個人再生ができるのかわからない場合は、まずは任意売却を得意とする不動産業者に相談をしに行くことがいいでしょう。不動産業者の場合、弁護士と提携をしていますので、個人再生が向いているのか、任意売却が向いているのかを判断することができるでしょう。
- 調子のいいことばかり言う業者
- 他社・他業者の悪口を言う、モラルが低い業者
- お金で釣ろうとする業者
- 債務がゼロになると嘘をつく
このほか、配当要求終期の公告をなされた場合、個人情報が漏れますので、さまざまな悪徳業者からアプローチが仕掛けられます。甘い言葉で誘われても騙されないようにしましょう。