不動産売買をする上で必ず知っておきたいこと

不動産を売却する経験は人生の中で、そう何度もあるわけではありません。不動産投資をしていれば別ですが、一般人にはそこまで縁のあるものではありません。
不動産売却には、数千万円単位の莫大なお金が動きますので、売却を依頼する不動産会社を間違えてしまいますと、買主や不動産会社に良いようにお金を取られてしまいます。そうならないために、不動産売却の基本的な知識と、これだけは注意しておきたい事柄を紹介します。

不動産売却には失敗が多いといわれていますので、今、不動産を売るかどうか悩んでいるのであれば、読んで損はないでしょう。

不動産の売却時に注意したい4つのこと

不動産売却するときには、

  • 売却を依頼する不動産会社の選ぶ際の注意点
  • 実際の売り出し時の注意点
  • 契約時の注意点
  • 引っ越し時の注意点

この4つの注意点があります。

売却を依頼する不動産会社の選ぶ際の注意点

不動産会社選びで必ずしなければいけないことが、見積書を出してもらうことです。また、複数の不動産会社へ見積書を依頼して不動産売却をおこなうようにしましょう。

なぜかといいますと、1社のみに依頼した場合、その会社が高値で売れてトラブルのない顧客をつけてくれるサービスの良い会社なのか、仲介手数料が目当てで、いい顧客を紹介してくれない悪質な会社かわからないからです。

判断基準を作るためにも複数の会社へ見積書の作成を依頼するのは非常に有意義なことになります。

また、相場見積もりを出してもらう際の注意点として、口頭での見積もりではなく、査定書にして見積もり書を出してもらうことが重要です。口頭の場合、必ず適当に○○万円で売れますよと営業トークを不動産会社はします。そして、とりあえず契約だけでもと促す積極的な不動産会社は避けたほうがいいでしょう。
正式な査定金額を不動産会社に書面で出すように依頼して、仮に査定金額を出すことができないと固辞するのであれば、その会社は危険性が高いので依頼先から積極的に外すことが重要です。普通は、査定金額を書面で出すことに対して、嫌がるということはありません。

不動産の相場見積もりサイトなどもありますが、そのようなサイトに依頼してしまった場合、営業マンからの電話攻勢が開始されますので、頭痛の種になります。また、紹介サイトみたいな中間業者を通してしまいますと、その中間業者に対する手数料が発生します。そのため、少しでも不動産を高く売りたいのであれば、これらのサービスを利用しない方がお安く取引をすることができます。

そして、当然のことですが売却をしようとしている不動産、不動産を購入した不動産会社へ依頼する必要はありません。購入時と売却時では不動産会社が異なっても、それが原因で問題に発展するということはありません。不動産売却は少しでも高く売ってなんぼですから、安く売却するのであれば、その不動産会社へ義理立てをする必要もないでしょう。相手方もビジネスと割り切っていますのでトラブルになりません。

では、どのような基準で売却を依頼する不動産会社を選んだらよいのか。

これの大前提として複数の不動産会社から査定を依頼しているということですが、売却をしようとする不動産の種類に応じて使い分けることが重要です。

個人が購入できる1000~5000万円の物件の場合

いわゆる一般の個人が購入できる不動産の金額は1000万円~5000万円程度です。

これらの住宅地に戸建て・マンションのような市場へ出せば、すぐに売れるような場合、業者買い取りではなく、市場に直接流通をして買主(エンドユーザー)と直接契約するのが、最も高値で売却することが可能です。この場合は、近隣の地元の不動産会社へ依頼するとメリットがあります。つまり、地元の不動産会社が強いわけです。ポストなどに不動産のチラシがよく入っていますが、そのような業者に依頼をしましょう。

前述したとおり、1社ではなく複数の不動産会社に依頼をするようにしてください。

5000万円以上の個人が購入しにくい物件の場合

一戸建てを1つ建てるだけには広すぎるなどのような案件や、都心の物件では、かなり高額な案件の場合、市場で売りにだして個人から買いたいと申し入れというのはそう滅多にあるものではありません。数年単位で気長に待てるのであれば、その手段もありですが、短期間のうちに売り払ってしまいたいのであれば、不動産会社に直接買い取りを依頼するという方法がもっとも現実的で賢明な方法になります。

購入した不動産会社は、その土地を分割して複数の人に売却したり、マンションなどをその土地に建築して賃貸に出しをするこることにより、不動産会社は収益を出します。

相続税などの税金の問題が絡んでいる物件の場合

相続税などの税金の問題が絡んでいる場合、売却額では利益が出ても、税金の部分で後から大損をしてしまう可能性があります。不動産を売却した場合、多額な税金を徴収されます。少し工夫をしておかなければ、大きな節税をすることができるケースが多くなります。相続税や税金の知識が一切ない場合、一般の不動産会社へ依頼した場合、税金面の心配があります。

concierge
専門の相続の物件を専門に扱う不動産会社に依頼しておくと強くなります。

実際に売りに出すときの注意点

実際に売りだす際は、相場見積もりを取った会社、複数社に同時に売りに出すようにしましょう。値段が一番高い会社に売れば問題ありません。また、仲介を依頼することなく、自分で買い手を見つけて売る方法や不動産会社そのものに買い取ってもらうという方法があります。

高値で売却することができる場合、また、賃貸需要があると判断されれば、売買ではなく買い取りしても不動産会社が購入してくれるケースもあります。

不動産会社は同時に賃貸業のおこなっているケースも多くなります。

多い場合、数百万円の違いが出てきます。この額は非常に大きいといえます。そのため、最も高い会社に売ることを考えましょう。また、ストレスの問題を考えたとき、対応がいい会社に売りましょう。数万円程度の違いであれば、担当者の印象が良い不動産会社を選んだほうが安全です。

また、きれいに掃除するのは絶対に忘れないようにしましょう。荷物は全部からにして、拭き掃除などを忘れないよう、必ずしましょう。見た目がきれいになるだけで、査定価格は大幅に上がります。きれいな不動産を買いたいと思う人は多いからです。そのため、自分の手でいいのできれいにしておきましょう。

不動産売却の契約をするときの注意点

不動産の契約をするときは、売買価格と仲介手数料だけではなく、契約書に特に注意をしましょう。なぜかといいますと、仲介業に関するトラブルを未然に防ぐためにするものです。仲介の依頼を受けた不動産会社に対して、契約書の作成は義務付けられています。

契約書は、双方が納得した上で、取り交わすものです。契約を結んだら、簡単には解除することはできません。司法書士に依頼するといいでしょう。

雨漏りやシロアリ被害といった、物件の欠陥(瑕疵)を知らなかった場合、瑕疵担保責任が発生します。

瑕疵担保責任とは、簡単にいえば、買主が問題点や欠点に気が付いたときに売主へ、その問題点の除去を依頼することができるものであり、売主の責任になりますので注意をしなければなりません。

売買契約書では、瑕疵担保責任の期間がどのくらいの長さになるのか明記する必要があります。買ってくれる人に対して重要事項の説明や売買契約の際の保険の供託措置をとることについて、しっかり説明することが必要になります。

明記されていない場合、民法が適用され、買主が隠れた瑕疵を知ってから1年が、瑕疵担保責任の期間になっています。

不動産を引き渡す際の注意点

不動産売買は、現況渡しが原則です。

そのため、所有権の移転と物件の引き渡しなどの義務が生じます。これらの義務を期日までにしっかりと果さなければ、債務不履行などが成立してしまうことになるでしょう。その場合、違約金なども発生します。そのため、注意しましょう。

また、所有権移転については、登記などを準備しておきましょう。

そのため、専門書類を作成できる司法書士に頼んで書いてもらいましょう。抵当権などが設定されている場合、住宅ローンの残債務を完済し、抵当権を抹消する必要があります。入金されたお金でローンを全額完済し、権利が住宅に一切かかっていないきれいな状態にあります。

また、土地などがある場合土地家屋調査士などに依頼して境界を確認することも重要になります。境界や設備の引き渡しのトラブルになることがあります。

現地確認も大切になります。売主と買主だけではなく、不動産会社に立ち会ってもらい、現況確認をしておくことも大切になります。これは、立ち合いのもとで必ずおこなうといいでしょう。

さらに、引き渡しまでに退去を済ませて、引き渡し条件は必ずしっかりと確認して、確実に物件を期日までに引き渡しをおこなうようにしましょう。

売却する不動産の状況に応じて不動産売却時の注意点とは?

不動産の売却時には、いろいろな注意点まだあります。

それは、売却対象の不動産の種類や状況によっても異なります。

相続した不動産にローン残債務がいまだに残っている場合、自分で住まずに人に賃貸で貸して大家として賃貸経営をしている不動産を売却するときのものです。

注意点はどれも異なりなす。内容も変わります。よく内容を読んでしっかりと理解しておきましょう。

相続した不動産を売却するときの注意点

不動産を相続するケースは多々あります。税金がかかります。また、現住所が別の場所の場合は、そこに住むのも難しいものです。さらに固定資産税もかかります。管理もしなければ、不動産の価値も下がっていきます。

相続登記をしておくことも重要です。期限はないものの、いつまで亡くなった人のままにしておいては、売却するにしても、担保にしてお金を借りることもできません。

相続登記を早めにおこない、不測の事態に備えることが重要です。

ローン残債が残っている不動産を売却するときの注意点

一般的に、売却代金をローン残債にあてて、一括返済するケースが多くなります。住宅ローンを組むと必ず抵当権がつきます。

銀行などの債権者は抵当権をつけることにより、ローンに万が一(滞納など)のことがあったときに回収できるようにしています。しかしながら、ローンがあって抵当権がついている場合、そのままでは買ってくれる人は皆無です。売却代金を受け取ると同時に抵当権を抹消が必要です。

売却代金を受け取り、金融機関(債権者)へローン残債務を完済して、抵当権を抹消する正当な手続きとなります。

新居を購入して、そちらにもローンを組む場合、注意が必要になります。

まず、買い替えローンなどを使うことになるでしょう。

その際は、今あるローンの残高を新規に購入する住宅ローンに上乗せすることができます。しかし、借入額が大幅に増えるので、審査が困難であるというデメリットがあります。売却をできないリスクも考え、慎重に検討しなければなりません。

買い替える住まいがすでに竣工されているのであれば、ローンの移行がスムーズになります。分譲マンションが竣工前の場合なら、ローンは引き渡し後からはじまります。仮住まいと重複したローンは不要になります。

そちらを利用して短い期間、借入することも可能です。しっかりと調べることが重要になります。

賃貸中の不動産を売却するときの注意点

賃貸中の物件を売り出す場合、その物件は、不動産利益が発生する収益物件として見られることになります。買い手もそのように考え、利回りを計算します。月の利回りなどをもとに売却の査定額を決定されます。この点は、自身が住んでいる物件と賃貸物件の大きく異なる点になります。

購入額から年間の家賃収入を利回りで割ったもので計算され6%くらいから最低でも2桁くらいはないと、その不動産は売却することはできません。

通常の不動産を売却するときよりも査定額が厳しくなる傾向があります。また、管理費や修繕積立金の滞納も引き継がれます。費用の滞納は売買の重要事項説明書(重説)で記載する必要があります。それらをブラックボックスのままにして売却することはできません。

物件について

売買対象の家や土地は、商品として市場に流通することになりますので、売主としては自分の商品について理解が必要不可欠になります。そのため、不動産会社にのみ任せるのではなく、自身でも売却する物件の特徴を知っておくといいでしょう。

現況と登記内容とは異なることがある

現況と登記内容は異なることがあります。土地でも家でも、物件の現況と登記内容は異なることがあります。特に多いのは、土地の地積です。地積が異なれば、そのまま売るとほぼ確実にトラブルが発生するでしょう。

正確な地積(土地の面積)は測量する必要があり、このような場合は、法務局で地図(公図)取得すると、隣地との境界や土地の形状を確認することが可能です。明らかに現況と違わないかどうか、事前に確認をしなければなりません。

さらに、家の場合は登記されていない増築していますと、現況の登記内容と異なってきます。表題部分変更登記には義務があり、登記をしていなければ当然、法令違反です。それ以前に買主から登記を求められます。その理由は、増築部分が登記されていないと買主が融通を受けられません。現況と登記内容が違う場合は、直しておかないと後で面倒になります。

法律が変わっているケースもある

購入時と法律が変わっているケースもあります。建築物の法律の建築基準法は、何度も改正が行われており、そのたびに建築基準も変わっているのです。ですが、法律の施行前から建っていた建物に対しても現行基準を適用するというのは、その建物の所有者へ大きな負担となりますので、建築当時に適法であれば、現行法でも適法として運用されています。

その結果として、日本中にはいたるところに、基準の異なる建物が存在するようになりました。現状を維持している限りは問題になりませんが、更地にして立て直そうとした場合、現行基準でしか建物を建てられなくなります。

現行の建築基準が適用されると建てられない土地、建てられるとしても以前よりも小さな建物しか建てられない場合もあります。そのため、自分の土地が建築基準法でどのような扱いになっているのかを売る前に確認しましょう。

そのままで売れるとは限らない

土地の境界については、測量して境界確定しなければなりません。不動産会社からリフォームや解体を勧められることがありますが、リフォームや解体はすべきではありません。

きれいな家や更地のほうが売れやすいのは確実です。しかし、わざわざリフォームするのであれば、リフォームをせず、リフォーム費用の分だけ購入金額を上乗せしてもらい高く購入してもらえるならいいでしょう。

しかし、買主がリフォーム済の物件を欲しがるのか、それとも買主が自分でリフォームしたいのか、それを事前に知ることはできません。リスク回避で考えると買主に任せたほうがメリットは大きくなります。そのため、リフォームや解体はせずに、その費用の半分でも値引きをすると買主は喜び、買主は値引き分を利用して自身でリフォームをしてしまうことでしょう。

売却価格について

家や土地を売るときに一番気になるのは、売却価格になります。最低でもローンが払える価格で売りたい、できるなら高く売りたい、売主ならだれでも思うことです。しかし、現実はそれほど甘くありません。

査定価格は売れる価格ではない

家や土地を売るときには、不動産会社に売却査定を依頼することになるのは前述しました。

仲介が前提の場合、査定価格は不動産会社が考えます。そのため、売れそうな価格であり、実際に売れる価格ではありません。そのつもりでいなければ、期待値が高まりすぎて、結果を見て残念な結果であると肩を落とすことになります。

しかも、この場合の売れそうなとは、本当に売れそうな価格ならまだしも、売れそうだと思わせて、媒介契約を誘うための色を付けた価格である可能性が否定しません。

本当に売れそうな価格なら、相場的な価格になって、市場の反応もあるのですが、営業的な価格に引っかかると、高すぎて反応がなく売れ残るという結果になります。「査定価格=売却を保証する価格」ではありません。勘違いしないようにしておきましょう。

それでも、査定価格はどのくらいで売れそうか目安になる価格であり、相場を把握しておくためにも査定は必要なプロセスになるのです。

一括査定において、明らかに高すぎる・安すぎる査定価格を省いて考えるのも有効です。

早くと高くと両立できるケースは極めてわずか

不動産市場のおいて早く売れると、高く売れるは、相反する関係にあります。当然、高いものは売れにくくなります。不動産でも別の商品でも同じになります。

普通に考えると「高く」とは、その家やその土地の持つ価格よりも高額で売れ、儲かることを意味するでしょう。そのような状況は非常に人気が高い地域を除き、今ではほとんど考えられません。

相場価値を基準にする場合、価格を高くすれば売れにくくなり、価格を安くすれば当然、売却しやすくなります。本当に欲しいと言い出す、奇特な方が現れない限り、早く、そして高く売るということは難しくなります。

仲介と売買

不動産売却には、仲介と売買があります。仲介は不動産会社に買主を探してもらい、成約すると手数料(仲介手数料)を支払う売却方式になります。

買い取りは不動産会社に買い取ってもらうので、仲介とは異なり手数料は発生しません。手数料だけでは、買い取りのほうが有利なように思えますが仲介で売る価格を市場価格とすると、買い取り価格はその6割程度が相場といわれます。価格面では仲介が有利です。
ですが、仲介は買主がいなければ、いつまでも売れないリスクが伴います

売却に期限がないときは、仲介で長期間売り出すこともできるのですが、事情によっては、期限が決まっていることもあります。そのような場合、価格は犠牲にして買い取りを利用する選択しもあります。

仲介と買い取りのメリットを両方生かすため、組み合わせすることも可能です。たとえば、最初は仲介で売り出し、徐々に価格を下げながら、数か月間売れなかったら、不動産会社に買い取ってもらう方法で、このような売却方法は買取保証と呼ばれています。

仲介のメリット・デメリット

仲介のメリットは、市場価格に応じた価格で売れる可能性があり、買取よりも取り分も多くなります。

デメリットは、需要や価格によっては、売れ残る可能性がある点にあります。

買い取りのメリット・デメリット

買い取りのメリットは、対応する不動産会社があれば、確実に売れることができ、期間もかからない点にあります。

そして、デメリットは、仲介よりも安い価格での取引となる点です。

売却にかかる費用について

買主が支払う売却代金ですが、それは当然ですが、売主の収入になります。売却には当然、費用がかかり、残るお金は減るので収支の把握が必要になります。

費用で大きいのは仲介手数料です。そして、当然ですが、そのほかにもケースに応じて費用がかかってます。

仲介手数料

不動産売却のときにかかるのは、不動産会社が報酬として手にできる仲介手数料は、宅地建物取引業(宅建業法)で定められており、上限も決められています。

誤解しやすい点として、不動産会社が販売活動を行った結果、売れなくても仲介手数料が発生しません。通常の営業行為としての広告費などは、不動産会社の負担になります。つまり、売主が独自に高額な広告を依頼するなど、売主の承諾においておこなう特別な営業行為については、実費請求が認められます。

そのため、原則として、仲介手数料以外に不動産会社に支払う費用は一切ありません。もちろん、売買契約が成立しなければ、仲介手数料を請求できない決まりになっています。

仲介手数料は価格により異なってきますが、一般的に400万円を超える場合は以下の速算式になります。

「仲介手数料=売却価格×3%+6万円(消費税別)」というのが、仲介手数料の速算式になります。

税金

家や土地を売るときの税金は、売却益(譲渡所得)が出る高い税率で課税されますので、売却価格次第では大きく変わります。ほかの税金は費用全体としては小さいものなので、特別気にする必要はありません。

印紙税

印紙税は必ず納付しなければならない税金です。売買契約書に貼り付ける収入印紙にて、納付します。契約金額(売却価格)にて、印紙税の価格は大きく変わります。ただ、高くても数万円なので、そこまで負担になるものではありません。

登録免許税

登録で発生する税金で、所有権移転の登記費用は、買主負担が通例になります。そのため、売主がこの登録免許税を負担するケースというのは、ローンがあり、抵当権が設定されているときと、登記簿上の住所が現住所と異なる場合になります。

上記の登記は原則として司法書士しなければならず、司法書士報酬で最低1万円程度が必要です。

登録免許税は、

  • 抵当権抹消登記:不動産1つにつき1000円
  • 住宅変更登記:不動産1つにつき1000円

ここに、司法書士に登記を依頼すると1万円程度がかかります。

譲渡税所得

税金で高額になるとすれば、売却で利益が出た場合、譲渡所得税です。

売却益に譲渡所得税(所得税と住民税)が課税され、不動産の所有期間は5年を境にして税率が異なります。
現在の不動産事情では、売却益の出る売却はでないと考えていいでしょう。譲渡税所得税を心配する必要はありませんが、不動産の所得費(購入金額から購入費用を引いた額)が不明なときは、売却価格の5%を所得費とするので、大半が売却益になります。

自分で購入した土地の場合、契約書などで所得費は判明しても、相続した場合に所得費不明になることが多くなり、売却益も多くなり譲渡税所得税が高額になりがちです。

譲渡所得税については、不動産を売却した翌年の確定申告時に納付します。

譲渡所得税は、

  • 所有期間5年以内:所得税30%、住民税9%
  • 所有期間5年超:所得税15%、住民税5%(6000万円まで軽減が可能)

このように5年以内しか所有せずに不動産を売却してしまいますと、結構な額の譲渡所得費がかかりますので、5年以上所有してから売却に出した方が節税になります。

その他の費用

家や土地を売るためには、売れる状態にするための費用がかかることがあります。現状渡し、つまり、そのままの状態で引き渡すことが一番理想的ではありますが、手を加えたほうが売れやすくなる場合、買主の要望でも変わってしまいます。

家の場合については?

仮に現状渡しでも、礼儀としてきれいに掃除くらいは自分でするとはいえ、傷や汚れが目立って、内覧時に印象が悪くなる場合、ハウスクリーニングが必要となります。リフォームしてきれいにすることもありますし、大掛かりに手を加えてリノベーションをして、付加価値を高めて売る場合もあります。

費用が高額になる場合、売却価格に上乗せして売るという戦略になりますが、その場合、必ずしも市場の反応がよくなるというわけではありません。つまり、自腹を切って手をくわえることとなるのです。
家として売却をするにしても、古すぎて価値がまったくないときは、解体して更地にして土地を売る方法も戦略としてはありでしょう。

土地の場合

土地は簡単にそのまま売れるようなイメージがありますが、測量して売らなくてはならないケースが2つあります。

1つは、現状の地積、つまり、土地の面積が登記簿上の地積と異なるときで、売買は登記簿上の地積を基準にされますので、実測をおこなった結果、地積が広い場合、狭くて場合、両方で問題が起こります。

  • 登記簿上の地積<実測の地積の場合:売主が狭い土地として安く売ることになります。
  • 登記簿上の地積>実測の地積の場合:買主が広い土地として高く買うことになります。
さらに、もう1つは、境界が不明瞭なときです。境界のトラブルは、誰でも嫌います。土地(建物があっても)を売るときに境界確定は必須な作業となります。

そのさいは、測量図を元に隣地の所有者と協議するため、測量が必要となります。その際には、測量図をもとに隣地の所有者と協議するため、測量が必要となります。

測量や境界確定は、土地家屋調査士という専門家へ依頼します。費用は数十万円かかることが普通であり、先祖代々受け継がれてきた土地の場合、境界確定には時間がかかります。

不動産会社について

不動産会社に売りたい家や土地を広告してもらい、購入希望者を仲介してもらうための契約を「媒介契約」とよびます。

一般的に自分で広く不動産の購入希望者を探すのは難しく、不動産会社との媒介契約は避けて通ることはできません。

媒介契約には、

  • 専属専任媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 一般媒介契約

この3つの種類があります。

この中でもっとも拘束力がある契約は専属専任媒介です。一般媒介契約が拘束の緩い契約です。

どの媒介契約にするのが悩みますが、一般媒介契約を利用するのが一般的です。

複数の不動産会社と契約する一般媒介は、不動産会社を信頼できないときや不動産会社同士をわざと競合させたいときに利用します。

早く売却したいのなら専属専任媒介、専任媒介です。高く売りたいなら一般媒介です。

専属専任媒介と専任媒介は担当者の腕しだい

1社の不動産会社に仲介を任せてしまうと、専属専任媒介と専任媒介は、やる気のない、手腕の未熟な担当者にあたってしまった場合、積極的な営業を期待することができず、売り遅れてしまいます。

不動産会社の営業活動までは、売主が詳しく知ることができません。

ですが、専属専任媒介の場合は1週間に1回、専任媒介の場合なら2週間に1回の定期報告が義務つけられていますので、報告期間におこなった営業活動や問い合わせの有無を知ることは可能です。

不動産会社や担当者を信用することができないのであれば、契約を解除して、別な不動産会社と契約するべきです。もちろん、不動産会社を変えずに一般媒介契約に変更して、他の不動産会社と契約するという戦略もあります。

大手不動産会社が必ずしもいいとは限らない

一般的に知名度の高い不動産会社と契約を結んだほうがメリットはあります。大手は実績が豊富です。これは安心につながります。また、多くの顧客を抱えていることになり、ノウハウも蓄積されているので、信用できるのが大手不動産会社の魅力です。

ただし、不動産の仲介業界では、売主と買主の両方を1つの不動産会社が仲介する、両手取引とよばれる取引を目指したいのが不動産会社の本音になります。

両手取引では、売主から買主からも仲介手数料が得られます。そのため、1つの物件で2倍の手数料を得られる両手取引は不動産会社にとっては非常に美味い話です。
両手取引に法的に問題はありません。問題とされているのは、意図的に両手取引を目指して、他社から問い合わせを遮断する囲い込みと呼ばれる営業戦略をとる点にあります。そのため、囲い込みされてしまったら、依頼した不動産会社が買主を見つけない限り売却することができません。

囲い込みは早く不動産を売りたい売主の意向を無視したものとなります。なぜなら自社の利益のために不動産会社が勝手にする行為であり、次のような方法が利用されます。大手不動産会社ほど、扱う物件数が多く、囲い込みの割合も高いといわれています。

レインズに登録しない・登録を削除

専属専任媒介と専任媒介には、不動産会社だけが閲覧可能なレインズ(全国的な業界データ ベース)への登録義務があります。

登録しないと不動産会社は、法令違反になります。登録しない場合、問題外ですが登録しても削除することは可能です。

レインズに登録すると登録証名書が発行されます。しかし、裏では削除されていても知らされないので実はレインズに載っていないケースもあります。

相談中にして対応しない

レインズに登録しても、他の不動産会社から問い合わせがあっても、商談中を理由に依頼した不動産会社が対応しないケースもあります。

これは、以前から問題となっているのですが、紹介拒否になりますので、レインズ側でも禁止規定を設け対応をしています。しかし、現在でも横行されています。

他社の広告を不可にする

レインズには登録しても、他社の広告を制限することも可能です。この建前は、売主が近所に知られたくないなどの事情がある物件に対するためというものです。

レインズは不動産会社しか見ることができませんので、広告不可になった場合、不動産会社が抱える顧客にしか拡散されません。

結果として、売れにくい状態となるわけです。

売買契約後の注意点

家や土地を売るときには、多くの注意点があります。

契約破棄にお金がかかる

無事に買主が見つかり、売買契約を結ぶと、買主から10%前後の手付金が支払われます。物件の引き渡しまで何もなければ、絵付け金は売却代金の一部として扱われ、決済時には残金の清算になります。

しかし、途中で事情が変わったり、売主側が契約を解除したいとしたときは、買主から受け取った手付金を返済するのみならず、さらに同じ金額を買主に支払います。

買主側の都合で契約が解除された場合、買主が支払い済みの手付金を放棄するので、どちらの都合で解除しても、手付金を損することになるでしょう。

ローン特約

不動産は高額になります。買主はローンを利用して購入資金を用意します。

ローンの利用自体、問題にならないのですが、ローン審査には売買契約書が必要とする性質上、先に審査を受けてから売買契約することができません。

ここで問題があり、売買契約後にローンの審査に落ちてしまった場合、買主が支払い不可能になってしまう可能性があります。ローン審査に落ちた買主に対して代金を契約どおりに請求したとしても、現実的に支払いをすることは不可能です。

このような事態に備えてつけておくのが、ローン審査に落ちたときに契約を白紙解除することができるローン特約です。

ローン特約の存在は売主にはメリットがありませんが、買主はローン特約をつけないと売買契約を結ばない可能性があります。

まとめ

不動産売却には失敗が多いといわれています。不動産は買うときにも売るときにも税金がかかり、物件の価格以上にお金がかかります。

税金に対しては、重大なトラブルのもとになります。

また、税金以外の問題として、査定から不動産会社の選定や法律的な問題、契約関係の決まりごとなど、必要とする知識は膨大です。

金額が金額なだけに、トラブルに巻き込まれたら大変なので、トラブルに備えましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です