住宅を売却する経験というのは人生に、そう何度もあることではありませんので、どのような流れで進んでいくのか少しわからないという方が多いでしょう。不動産売却の全体の流れを知っていれば、不動産の売却がスムーズに進むでしょう。
今回は、不動産売却の流れについて解説をしていきます。
目次
まずは、不動産売却する理由を確認する
ある日突然、住宅を売却したくてたまらなくなるということはまずありません。なんらかの理由、たとえばライフスタイルや家族の構成の変化、環境や経済状況の変化など、住まいを売却するためにはさまざまな理由があるでしょう。
まず、不動産売却をする前に売却しなくてはならない、具体的な理由を考えるということが重要になります。
ライフスタイルの具体的な変化としては、
- 子供の成長にあわせて広い家が欲しくなった
- 子供が独立して都心に住み替えたい
- 定年退職を機に地元に戻る
などがあります。
具体的なライフスタイルの変化があり、売却する具体的な理由を整理することができた後は、自分の希望や経済状況などを確認します。
たとえば、
- 住み替え時期はいつ頃になるのか
- 手元の資金はどのくらいあるのか
- 現在住んでいる住宅に将来的に帰ってくるのか
このような確認事項を設けてしっかりと確認することが必要です。
そして住み替えのイメージを固めていきます。たとえば、新居を購入するのか賃貸するか、それとも現在の家を売却することなく誰かに貸し出して賃貸経営をおこなうのかなどを考えます。
たとえばですが、
- どのくらいの価格で売却するのか
- 売却時期はいつ頃なのか
- 新居を購入するのか、それとも賃貸にするのか
- 今の住まいを売却せずに賃貸にするのか
このようなことを、専門家へ相談をする前にしっかりと自身で整理することが重要になります。不動産売却は多額のお金が動きますので、事前に具体的なプランを立てイメージすることがとても大切になります。
売却の流れについて
売却する具体的な理由を整理することができたら、不動産の売却の流れを見ていきましょう。
- 相場を調べる
- 不動産会社を探し売却の相談をする
- 物件価格の査定を依頼
- 不動産会社に仲介を依頼する
- 不動産を売り出す
- 購入希望者と交渉
- 物件情報の開示
- 売買契約を結ぶ
- 不動産を引き渡す
1.相場を調べる
住宅を売却すると決めたら、いくら程度で住宅を売ることができるのか、その目安を立てる必要があります。これは、自身が住んでいる住宅の周辺相場を調べることから始めることがいいですね。
先に不動産会社に相談をしておけば、売却を検討している物件の築年数・周辺の類似物件の最近の売買事例、そして管理状況を、希少性などさまざまな観点から総合的にチェックしてくれます。
2.不動産会社を探し売却の相談をする
住宅の売却には、法律と税金、そして経費などの専門的なサポートが必要になります。一般人が自分でおこなうことは時間がかかり非効率です。そして、誰もが口をそろえて「信頼できる不動産会社」へ相談をすることが大切といいます。
この信頼できる不動産会社の情報収集が、何よりも重要なウエイトを占めてきます。大手の不動産会社なら実績も経験も豊富なので、安全であると安易に考えがちですが、大手の場合囲い込み戦略をとることがあります。
不動産会社の情報を幅広く収集しましょう。ここに対しては時間を割いてもまったく問題はありません。そのため、相場を調べるよりも、不動産会社への相談をする方が先であっても問題はないでしょう。
不動産会社へ相談する際には詳細な情報を持っていたほうがスムーズに話が進みます。
- 利権関係の確認
- 敷地の境界の確認
- ローンの借入の有無、残債の確認
- 購入当時の図面や書面の確認
3.物件価格の査定を依頼
物件価格の査定を依頼する時点から、その不動産会社との付き合いが始まります。売却する住まいの価格を、不動産査定の専門家であるプロの目で査定してもらいます。
この物件の査定ですが、1社にのみ依頼するのではなく、複数社に依頼をすることが重要です。また、口頭で査定金額を聞いて満足するのではなく、査定書を作成してもらい物件価格について聞きましょう。
複数社に依頼するのがなぜ重要なのかといいますと、1社のみの査定額では正確な相場がわからないからです。複数社に依頼をして出てきた査定額の平均が相場と考えることができます。不動産会社の中には口がうまい人がいますので、だまされてしまう可能性があるのです。
4.不動産会社に仲介を依頼する
不動産会社に仲介を依頼、つまり、媒介契約を結びます。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
この3つの形態です。
一般媒介契約の場合は、複数社と同時に媒介契約を結ぶことができますので、高額で住宅を売却したいのであれば、一般媒介契約がすすめられています。
一方、早く売却したいのであれば、専任媒介契約、専属専任媒介契約が向いています。この2つの媒介契約は1社の不動産としか結ぶことができず、他の不動産会社との取引が禁止されています。また自分で買主を見つけることも禁止されますが、不動産会社は1~2週間ごとに依頼主に売買活動の状況を報告する義務があり、確実に売りたい場合は、こちらが向いています。
ただ、どのような媒介契約がいいのかは、不動産会社の説明を聞いて自身で判断することがいいでしょう。どのように売りたいかによって媒介契約を柔軟に選択してください。
一般媒介契約
一般媒介契約とは、複数の不動産会社に同時に仲介を依頼できる条件の媒介契約になります。そのため、依頼主は一番条件の良い不動産業者や購入希望者を探すことができるメリットがあります。
- 明示型
- 非明示型
この2つに細分化することができます。
明示型の一般媒介契約は、新しく依頼した宅建業(宅地建物取引業)に対し、他の宅建業へ通知する義務がある契約になります。一方で、非明示型は一般媒介契約の場合は、他の宅建業への通知義務はありません。
専任媒介契約
専任媒介契約は、1社の不動産会社を窓口とする専任媒介契約です。この専任媒介契約のメリットは、2週間に一回、不動産会社から現状の販売活動の報告がおこなわれます。一般媒介契約とは異なり、大々的に広告活動を行ってくれる点にあります。不動産を売却することができれば必ず自社が儲かるので、一般媒介契約よりも大がかりな広告戦略を打ちます。
専任媒介契約は3ヶ月の期間限定の契約になります。3ヶ月が経過しても買主が見つからないのであれば、その不動産会社と再契約をするか、別の仲介業者と契約するという戦略が取れます。
また、不動産会社は契約を結んでから7日以内にレインズに対して、売買の目的物に関する事項を登録しなければなりません。これは義務づけられていることです。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約は、1社の不動産会社しか窓口にしかすることができません。前述した専任媒介契約と似たようなものですが、縛りとしては、専属専任媒介契約のほうが強くなります。専属専任媒介契約の場合、売主は契約した不動産会社が探した買主以外と契約を結ぶことができません。そのため、売主が自分で買主を見つけることも禁止されています。
厳しい縛りですが、専属専任媒介契約よりも不動産会社にも厳しい義務が生じます。
5.不動産を売り出す
売り出し価格は、その後の売却活動に大きく影響を与えます。自身が希望する価格に固執するのではなく、不動産会社の出した査定価格、そして周辺の売却事例、市場での希少性や動向を踏まえて慎重に決めることが重要になります。
そして、不動産会社は買主を見つけるために、さまざまな販売活動をおこないます。たとえば、不動産流通機構レインズへの登録があります。また新聞の折り込みちらしを利用しての広告、ホームページ上での公開など多岐にわたります。
6.購入希望者と交渉
購入希望者が現れた場合、売却条件を交渉します。価格の条件はもちろんもっとも重要ではありますが、そのほかの譲れる点と、譲れない点をしっかりと明確にしておき、購入希望者との交渉を進めていきましょう。
7.物件情報の開示
住宅の売買契約を結ぶ前に、物件に関する情報で正確に購入希望者へ開示する必要があります。特に、契約締結後のトラブルの防止のために瑕疵(かし)つまり、物件の不具合や欠陥がある場合は、きちんと誠実に購入希望者へ伝える必要があります。これを怠ると後々、自腹で瑕疵の改善をしなければならなくなります。
8.売買契約を結ぶ
売買条件に合意したら、購入希望者(買主)と売買契約を結びます。このとき、一般的には物件価格の10~20%程度の手付金を受け取ります。契約を結ぶにあたっては、しっかりと契約内容を確認することが重要です。
契約が締結された時点で、取引内容や権利、義務などが確定します。以降その権利、義務を遂行する準備へと移るのです。
9.不動産を引き渡す
引き渡し手続きにおいて、売買代金を受領するのと同時に登記申請(抵当権の抹消、所有権の移転)をおこない、同時に固定資産税の清算、鍵の引き渡しなどをおこないます。
- 固定資産税納付書
- 権利証
- 印鑑証明書
などの各種必要書類を集めておきましょう。
細かな設備・備品などの取り扱いなどについても、買主と現地立ち合いを行った上で、十分に確認をしましょう。
また、引き渡し後税務申告などの手続き漏れがないように注意しましょう。
買い替えを考える場合、購入が先か売却が先か
買い替えに伴う不動産売却の場合、所有物件の売却の時期と新たに取得する物件の購入時期の調整というのは非常に重要になります。転勤・転校などの理由で住み替えの時期が決まっている場合には、購入時期や住み替えの予算に制限がある場合、売却価格を重視して検討を進めることになります。
売却と購入を並行して検討するケース
売却と購入をある程度、同時に検討する場合、現在の住まいの買主と新居の売主と価格や引き渡し交渉などについて、双方のバランスを調整しながら交渉を進めていかなければなりません。しかし、契約条件は相手方の意向にも左右されます。難しい交渉となるケースもあるでしょう。
売却を先に検討するケース
現在、住んでいる住宅の売却価格を先に固め、その上で、新居の購入を進めていかなければなりません。予定している売却価格をきちんと把握し、新居の購入を検討することが可能です。そのため、資金計画が立てやすいというメリットがあります。しかし、売却の軽yカウを先に結びますので、購入の進捗の状況によって現在、住んでいる住宅の引き渡し時期をみていく必要があります。
調査が難しい場合、一時的に賃貸で借り住まいを用意しなければならないケースも想定されます。
購入を先に検討する場合
購入を先に検討する場合は、現在の住宅に住んだままじっくりと物件を選ぶことができるメリットがあります。しかしながら、現在の住まいの売却代金を新居の購入に充てる場合には、ある程度余裕のある資金計画を事前に立案しておく必要があります。もし万が一、売却価格が当初想定していた価格よりも低かった場合、現在の住まいのローン残債務が残ってします、新居の購入を断念しないといけないケースも出てくるでしょう。
まとめ
不動産売却をするためには、いくつかのステップを踏んで行わなければなりません。
- 相場を調べる
- 不動産会社を探し売却の相談をする
- 物件価格の査定を依頼
- 不動産会社に仲介を依頼する
- 不動産を売り出す
- 購入希望者と交渉
- 物件情報の開示
- 売買契約を結ぶ
- 不動産を引き渡す
以上のようなステップです。
ある日突然、不動産が売りたくなってしかたなくなるということは原則ありませんので、不動産売却する理由の確認がなによりも重要になります。具体的にどうして売りたいのか、売る場合の資金はどのようにするかなど、計画を立ててから相場を調べるなどのステップを踏んでいくようにしましょう。
このステップの中でもっとも重要なのが、不動産会社選びです。全員が全員、信頼できる不動産業者を選ぶようにと口をそろえます。
不動産会社との仲介契約は3種類ありますが、確実に売却したいのであれば、専属専任媒介契約か専任媒介契約です。この2つの契約は1社の不動産会社としか結ぶことができませんが、結んだ場合、不動産を売却することができれば確実に不動産会社の利益になりますので、販売活動に力を入れてくれます。
もし、高く売りたいのであれば、一般媒介契約です。複数の不動産会社と同時に契約を結ぶことができるので、その中でもっとも高い値をつけた不動産会社と話しを進めることができるでしょう。