住み替え、引っ越し、生活環境の変化でマンションを売却する際には、不動産業者にマンションの価値を査定してもらうことになります。この査定がマンションを手放す際にもっとも重要なものとなります。
ただし、査定価格=売却価格というわけではありません。しかし、できる限り高い査定が出るように意識した方がいいのは間違いありません。マンションの査定価格で後悔しないポイントを紹介します。
目次
マンションの査定から売却までの流れについて
マンションを手放すまでの流れをみていきましょう。流れとしては、下記のようになります。
- 不動産業者に連絡する
- マンションを査定してもらう
- 仲介会社を決める(媒介契約を結ぶ)
- 売出価格を決める(査定価格=売出価格ではない)
- 販売
- 売買契約をして、引渡し
最初に不動産業者へ連絡をしてから、実際に引き渡しが完了するまでに必要とする期間は1ヵ月~半年というのが一般的になります。
マンション査定は複数の不動産業者に依頼する
また、最高額を知ることも重要です。必ずしも最高額を提示した不動産業者を選べばいいというものではないのですが、他の不動産業者との交渉に利用したり、売出価格の決定の時に参考にしたりすることができます。
これらの理由から、マンションの査定を依頼するときには、4~6社程度に連絡を入れて査定してもらい、相場や最高額を把握するようにしましょう。
ただし、実際に複数の不動産業者を探して連絡し、マンションの条件を伝え、査定額を出してもらうのは、非常に難しくなります。査定など人生のうちにそう何度もするわけではありませんので、不慣れなことが多く、不動産業社からあれこれ尋ねられているうちに面倒になり、適当な業者で妥協してしまうケースがあります。
このように面倒くさくなりヤケを起こしてしまうと損や時間的なロスにつながります。
解決方法としては、ネットの利用です。ネットでマンション査定と入力するだけで、マンションの査定サイトがいくつも出てきます。それを利用して一括査定の依頼を出せば、手間暇の節約になるでしょう。
不動産業者(仲介業社)は、大手企業と地域密着の両方を狙う
不動産業者を選ぶときは、大手のほうが好条件で売れるのではないのか、と考える方も多いと思いますが実際のところは、そうではありません。不動産を探す人の中には、地域内での物件を探したい、学区内で引っ越したいという人が実は多くいるからです。
大手企業は販売力があり、それまでの売却実績も多く、広範囲に広告を出してくれますが、必ずしもそれが有効に働くとは限りません。
一方で、地域密着型業者は、その地域内に独自のルートを持っているほか、どんな些細な相談にも親身になってくれる傾向があります。
マンションの査定の方法について
マンションの査定の方法についてですが、そもそも、不動産価格の評価方法にはどのようなものがあるのでしょうか?
原価法
原価法とは、不動産を現在取得するにはいくらくらいかかるのかまずは決め、それを修正して評価価格を求める方法になります。主に、戸建て住宅の評価に利用されます。
収益還元法
賃貸で不動産を運用した場合、どのくらいの利益を得られるかという観点から、不動産の価格を評価する方法です。アパートなどの収益を得るための不動産やマンション査定に利用されるのが一般的です。
取引事例比較法
同じような物件の取引を参考にして、不動産価格を算出するという方法です。
マンション査定では、取引事例比較法が多く利用されています。
これは、同じマンション内で過去に売買された事例を集めて、それらの成約価格との比較によって割り出す方式です。同じマンション内で近々の取引事例がない場合、近隣の似たような条件のマンションを参考にします。集めた取引事例と実際に売り出す住戸の個別条件とを比較し、評点をつけます。
マンションの査定に影響するのはどのようなことか?
マンションの査定には、様々な要因が影響します。
マンションの査定では、立地、周辺環境、マンションの状態や築年数など様々なポイントがあります。
立地
駅から遠いマンションの場合、価格の下落率は高く、駅近のマンションでは駅の人気にもよりますが、価格が下がりにくく、反対に価格が上昇する物件もあります。
また、自動車での移動が基本の地域では、敷地内に駐車場の有無や駐車場代が大きく影響します。敷地内に借りられる駐車場がない場合、近隣に月極め駐車場があるのかを調べておくことも重要になります。
周辺環境
マンションの近くに毎日買い物をすることのできるスーパーや商店街が存在しているか、また学校や保育園が近くにあるかなども重要になります。幹線道路や路線の近くの場合、騒音が影響するケースもあります。
マンションの状態・築年数
マンションの安全性に対する評価として、耐震構造であるか、土壌汚染の有無も重要なポイントになります。耐震基準が新しくなった1981年6月以降に建築確認を受けた建物で耐震工事をしていない建物は、査定が非常に低くなります。
築年数
築年数に関しては、マンションの安全性とも関連してきます。間取り、設備の点からも重要になります。古いマンションの場合、間取りが現在の生活にあっていなかったり、水回りの設備が使いづらかったりします。
施工会社と販売会社
建物の信頼性に対する評価として、施工会社がしっかりした会社であるか、販売業者の財務状況が安定しているかも重要です。
施工会社がしっかりした会社であれば、マンションに不具合がある確率は格段に下がります。仮に不具合があったとしても、販売会社が買主である住人に補償する場合に、資金力の有無が考慮されるからです。
管理と修繕の状態
区分所有というマンションの特徴から、管理や修繕の状態も重要なポイントになります。マンションが一戸建てと異なるのは、管理費や修繕積立金が徴収される点にあります。
しっかり管理されており、メンテナンスや大規模改修工事に使われている、もしくは、使用される予定がある場合、査定額はアップします。
しかし、管理がずさんであり、メンテナンスが十分でない場合は、査定額が下がります。
具体的には、管理費や修繕積立金の額、そして、それが適正に管理されているかです。また、過去の修繕工事などの履歴、マンション管理規約の内容などが考慮されます。
管理組合や管理会社などの状況は重要なポイントです。
管理組合がしっかりしていないと、修繕がうまく進まないことや、最悪の場合、管理費の横領なんてケースも考えられます。
また、管理会社が異なるだけで、メンテナンス力が向上し、管理のコストも下げることができる場合もあります。修繕の方法で建物自体の痛みが減り、マンションの査定額にも重大な影響を及ぼすことになります。
その結果、住みやすい物件となり、マンション評価額に目に見えない形で影響するでしょう。規約を改善するには、住民間の総意の形成などの手間はかかります。しかしコストをかけずにマンションの価値を上げる点で、よい方法であると言えるでしょう。
階数と方角・角部屋
物件が高層階にあるほど、条件が良くなるほか、角部屋、南向きにベランダがある物件というのは非常に有利になります。
上層階は価格が高く、一方、下層階の価格は低くなるのが一般的です。最近人気のタワーマンションについては、上層階と下層階の違いによる価格差は明らかです。
将来的にタワーマンションを購入する予定があるのであれば、マンション引き渡し時期によって上層階と下層階では負担する固定資産税に差をつける方針が示されています。
また、同じ面積であっても、付加価値の高い上層階には、高い固定資産税を、下層階には低い固定資産税がかかる方針となっています。
これにより、タワーマンションの査定にどのような影響がでるのかは未知数ですが、既存のタワーマンションの固定資産税は従来通りです。そのため、中古マンションの場合は上層階の価値が高まり、より高価格の査定になる可能性も十分にあります。
また、同じマンションでも、方角によって査定額が大きく変わることもあります。部屋の方角では南向きが一番評価は高くなるでしょう。ただ投資用のタワーマンションなどでは、部屋の向きにかかわらず人気のある物件もあり、部屋の方角というポイントは、そのマンションによって査定に対する影響も異なります。
角部屋であるかどうかも価格に影響します。角部屋というのは、風通しもよく、騒音面でも片方しか接する部屋がないと安心できます。
リフォーム・修理
これはマンション全体の話ではなく、物件に対して個人でおこなったリフォームや機器などの入れ替えも査定に大きな影響を与えます。査定をする際は、リフォームなどの記録をすぐに出せるように準備しておいたほうがいいでしょう。
リフォームの内容によって、査定価格に影響を及ぼさないこともありますが、売買価格を決める際には重要な決め手になることもあります。
査定のポイント
現在、マンションを所有されている場合、立地を変えたり、マンションの構造を自身で変えたりすることは不可能です。査定の際に現在できるポイントを解説します。
大前提として、日ごろの部屋の使い方が大切になります。たとえば、台所をはじめとした水回りなどは汚れがたまりやすいところになりますので、こまめに掃除していくことが重要になります。
喫煙者のいる家庭の場合、タバコの臭いは部屋の価値を下げてしまいますので、注意しましょう。
また、マンション全体の価値を保ち、高めることも重要になります。マンションの価値を高めるためには、住民が一丸となり、日々の管理や大規模修繕をおこなうことが重要となります。では、住民が一丸となるためにはどうすればいいのかといいますと、住民間のコミュニケーションを活発化させることが重要となるのです。
たとえば、挨拶をする、ルールを守る、自治会でイベントを開くなど住民間のコミュニケーションを円滑にすることが、マンション価値を高めることにつながるでしょう。
この方法が、コストをかけることなくマンション価格の維持・改善に結びつけることができるでしょう。
査定額アップを狙ったリフォーム
査定額を少しでも高く算出してもらおうと、手放すことを決めてからリフォームする人がいます。しかしながら、これは正しい判断であるとは必ずしも言えません。
リフォームに200万円をつぎ込んだとしても、必ずしも査定額が200万円以上アップするのかといいますと、実はそのようなことはありません。赤字になってしまうのです。特に壁紙など目に見える部分については、そこまで重要視されないのが現実です。買主側が好んでリフォームをするパターンも考えられます。
基本的にはきちんと掃除している方が重要です。売出が決まったら、購入希望者が内覧にくることも考え、整理整頓と掃除だけはしっかりとおこないましょう。
時点修正について
実際の売出価格をベースにして算出しているので、かなり現実的な査定額が出てきます。
査定額=売出価格ではない
査定額=売出価格になるわけではありません。
売出価格は、媒介契約を交わした仲介業者と相談して決定されます。内装がきれい、水回りがきちんとメンテナンスされているなど、条件がよければ査定額よりも高い価格で売り出すこともあります。
査定額が高くても物件の状態が悪ければ、売出価格は低めに設定しなければならないこともあります。
査定額で業者を決めてはいけない
注意点として、契約を取りたいがために査定額を高めに伝える不動産業者が存在することを知っておかなければなりません。
査定額だけを見て不動産業者を選んではいけないのはこのためです。
また、相場を知ることにより、査定価格を高く謳っている業者なのかを見極めることができます。
なぜ、その査定額になったのか、実際のところ売出価格はどれくらいになるのか、必ず聞くようにしましょう。
マンション査定は、焦りは禁物
マンションを妥当な金額で手放すには、それなりの時間が必要になります。運がよければ1ヵ月で買手がつくこともありますが、それは運がよかった特別な人のケースです。
買手の興味があまり引けていないようであれば、売出価格の見直しも必要となります。それが、打倒な見直しなのか、早く売ってしまって手数料を手にしたい不動産業者の都合なのか見極め、時間をかけて販売していくことが重要です。
まとめ
マンションの査定についてあれこれ記載をしてきましたが、マンションの査定から売却までの流れについてですが下記の通りです。
- 不動産業者に連絡する
- マンションを査定してもらう
- 仲介会社を決める(媒介契約を結ぶ)
- 売出価格を決める(査定価格=売出価格ではない)
- 販売
- 売買契約をして、引渡し
不動産業者へ連絡してから、実際に引き渡しが完了するまでには、1ヵ月~半年程度の期間が一般的です。
マンションの査定に関しては、1社に頼らず4社~6社に査定を依頼することが重要になります。
マンションの査定に影響を及ぼす要素としては、
- 立地
- 周辺環境
- マンションの状態・築年数
- 施工会社と販売会社
- 管理と修繕の状態
- 階数・方角・角部屋
- リフォーム・修理
これらがあります。